過去ログ - 上条「だからお前のことも、絶対に助けに行くよ」一方「……」
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◆uQ8UYhhD6A
[saga]
2011/04/14(木) 22:01:17.41 ID:yDtrAmgPo
まるでその言葉を合図にするかのようにして聞こえてきた大勢の人間の足音に、美琴と白井は振り返る。
そこには、医者よりも更にやつれた顔をした髪の長い女研究者が立っていた。
彼女は背後に大勢の研究者を引き連れて、かつんかつんと靴の音を響かせながらこちらに歩いてくる。
その雰囲気から、美琴は彼女こそがこの研究者たちの中心的な存在なのだろうと悟った。
「お待たせしました。水穂機構病院院長から招聘を受けました、木山春生です」
―――――
泡を吹いて気絶した不良を、適当に投げ捨てる。
べしゃりという音と共に地面に叩き付けられた不良に見向きもせず、一方通行は歩き始めた。
(まァ期待はしてなかったが、案の定大した情報は持ってなかったな)
一方通行の足元には、同じような状態になった不良が何人も転がっていた。
誰がどんな情報を持っているとも知れないので、彼はとりあえず全員を締め上げて情報を吐かせたのだ。
しかしそれでも、彼が得ることのできた情報は多くない。
その上そのどれもが決定打に欠けている。恐らく事情を知っているリーダー格の人間は先程逃げて行ってしまったのだろう。
(どォする? さっきのアイツらを追い掛けるか? いや、しかし時間が経ち過ぎてるな……)
彼は小さく舌打ちすると、歩きながら頭の中で情報を纏めはじめる。
こんな状況だ。どんな小さな情報だったとしても見逃さず、きちんと把握しておいた方が良いだろう。
(まず、コイツらが使ってた兵器の名前はキャパシティダウン。能力者の演算を阻害して頭痛を誘発させる音響兵器。
『識別方法』ってのはこれだろォな。コイツら無能力者は殆ど影響を受けないが、俺たち能力者には絶大な威力を発揮する……筈だった。
まァ俺が相手じゃなかったら予定通りにコトが進められたンだろォが、残念だったな)
泣き叫びながら命乞いする不良たちの姿を思い出して、一方通行はくつくつと喉を鳴らした。
絶対の力を有すると思っていた兵器が使い物にならないと分かった時、アイツらは一体どんな気持ちだったんだろう。
(……と、コレも一応確認しておくか。風紀委員に通報した方が良さそうだが……どォすっかなァ)
ふと思い立って一方通行が懐から取り出したのは、紙の束。
もちろん、これも不良から強奪したものだ。
これではどちらが追い剥ぎか分かったものではないが、先に手を出したのはあっちだ。正当防衛正当防衛、と彼は自分を正当化する。
(襲撃予定者リスト、ね。ただ、持って行っても信じてもらえるどォかだな)
心中で呟きながら、一方通行は紙の束を捲っていく。
ざっと目を通してみると、そのリストに載っている人間の殆どは大能力者だった。
と、紙束をぱらぱらと流し見ている途中、彼はその中に見覚えのある顔を発見して苦い顔をする。
(げ、白井まで居るじゃねェか。危ねェな……)
彼女の他にも、常盤台の制服を着た学生が何人も載っていた。いずれも大能力者だ。
もともと一方通行には知り合いが少ないのでそこに白井以外の顔見知りはいなかったが、美琴の友人はきっとこの中に何人もいるはずだ。
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