120:投げんな匙 ◆t4xyS9bQ1M[saga]
2011/01/22(土) 12:05:53.58 ID:Cyk8wUxI0
気づけば浜面は無能力者でパシリであるという領分を越えて麦野に抱きついていた。
『は?ちょっと?こっち来ればいいとは言ったけど、あんた自分が何してるか分かってるの?』
『…俺のせいだ、完全に、俺が頭やられちまった』
『そう…』
ちゅ…
触れる唇。
直後、浜面は麦野をちらと見る。彼女の表情は無表情だった。
まゆひとつピクリとも動かさなかった。
ただいきなり抱きつかれて動揺したのだろうか、心臓の鼓動は妙に早かった事だけ覚えている。
麦野は能力を行使すれば浜面を即殺出来た。
しかし、彼女はしなかった。それは彼女が浜面を気にいってたのかもしれないし、馬鹿な浜面なんてどうでもいいとか思ってたのかも知れない。
ともあれ、あの梅雨が明けて夏が始まりかけている日の晴れた日の朝、浜面は麦野に抱きつきキスした。ただそれだけの話。
(ってなーに思い出してるんだか…そろそろか)
交差点を曲がり、シボレー・アストロは麦野の住んでいるマンションの地下駐車場に入っていく。
マンションの警備員(けいびいん)が眠たそうに敬礼する。
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