29:たけし君と僕。(3/3) ◆zdjPYVneyY[sage]
2011/01/21(金) 23:10:34.78 ID:sfhia2bno
「……たけし君。顔、真っ赤だよ」
「分かってるようっせぇな!」
怒ったように言うけど、これは照れているだけだ。
長い付き合いだし、それくらいは分かる。
とは言えあまりからかうとこの部屋から逃げ出しそうだし、これくらいにしておこう。
それに、本音を言えば。
「まあ……嬉しい、かな」
こんな事を言う、僕の顔も少し赤かったと思う。
「お、おう……そうかよ」
「うん。この子が生まれてきたら是非とも教えてあげたいくらいにね」
「ちょっと待てぇっ!」
お腹に手を当てて微笑む僕に、たけし君は慌ててるけど。
こんな嬉しい言葉、教えてあげないわけにはいかないと思う。
まだまだ言い訳を続けてる、たけし君には悪いけど。
「――僕も、ずっと憶えてる。今までも、これからもね」
怒ったように見せかけて、本当はただ照れているだけ。
子供の頃からちっとも変わってない、分かりにくくて解りやすい君と。
今こうなれた切っ掛けがあの日だから。
「ん、何か言ったか?」
「ふふっ。さてね、言ったかもしれないね。
そんなことよりあっちの片付けもまだなんでしょう? 早く行きなよ」
「お前な……あとできっちり白黒つけてやるからな!」
立ち上がって部屋を出る、彼の背中をそっと見上げて、僕はお腹をさすった。
いつか、この子に教えてあげよう。
古ぼけたヨーヨーの遊び方と、それがきっかけでケンカした日のことを。
きっと、ね。
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