574:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/03/15(火) 17:56:41.38 ID:itzVSEe30
では、と一言そう言ってレッドボール古泉が窓の外へと飛んで行く。世界を守る戦いへと向かう、その軌跡に迷いは無い。一直線に校門近くで暴れている神人へと突っ込む。
長門がそれを追いかけるように窓の桟に足を掛けた。
「有希、ちょっと待って!」
ハルヒが呼び掛ける。古泉の姿を瞳に映しながら口を素早く動かし続ける少女は、きっと朝倉をフォローしてた時と同じ要領なんだろう。見れば神人の腕が赤い球向けて振るわれる、その先々で情報障壁が展開されている。
「……何?」
必要最小限を口にすると、すぐさまその口は情報操作へと動き出す。ハルヒの力、願望実現能力に対して長門の力ってのはどうやら弱いらしく、光り輝く壁は巨大ラリアットを一秒かそこら遅らせる事しか出来ちゃいない。
だけど、それでも古泉にとっては十分だった。与えられた一秒間を用いて神人アタックを掻い潜り、その腕を見えない刀で斬り裂いたように落とす。即席の連携とは思えない程に長門のフォローは的確で、また古泉もそれを理解しているような動きを見せている。
「ゆ……有希は……有希はアタシに言いたい事は無いの!? アンタのせいでとか! 居なければ良かったとか!」
長門はハルヒを見なかった。それどころじゃなかったっていうのも有るだろう。目を逸らせば古泉が危ないのは俺にだって分かる。けれど、それ以上に何か……何か含みが有るような気がした。
「……ありがとう」
それだけを言って、後方支援宇宙人は窓からグラウンドへと飛び降りた。何を感謝したのかは分からない。何をもってのありがとうなのか、そんなのは長門にしかわからない。
分かる事は一つ。
ソイツの口から出て来たのは非難でも拒絶でもない、感謝の言葉だったってそれだけ。それだけで、だけどそれで良かった。
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