過去ログ - 悪魔「異界の門を開いたのはお前か」
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36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/02/04(金) 00:06:01.00 ID:t5MrH5UAO
 夜は彼らに関せず、とばりを下ろしていた。
 家々がもらす灯りもまた、変わらない。
 非日常に身を置く女の目には、遠い昔日の景色に映った。
 ともあれ、それはここが夢では無いことを認めさせ、彼女を奮い立たせた。

女「ブゥ」

人狼「匂いを追うんだ。豚も嗅覚は悪くは無いと思うが……」

女「ブヒッ……」

人狼「まだ身体が馴染んで無いのだろう? 慣れればその鼻も器用に使えるはずだ」

女「ブヒッ!」

人狼「ん〜? 良いと思うけどな……。さてと、走るから落ちないようにな」

 言い切るなり、人狼の身体が急加速する。
 女は悲鳴をあげた。
 しかし止まるどころか加速を続ける人狼は、言葉に一切そぐわぬ一直線で、少女を目指す。
 屋根から屋根へ飛んだかと思いきや、次は民家二棟を丸々飛び越える。
 大きな鼻孔から鼻水が、目から涙が、水平に流れた。
 ようやく人狼が足を止めた頃には、ずいぶんな水気が顔を覆っていた。
 人の姿では無いことに、女は少しばかり感謝した。

人狼「……大丈夫か?」

女「フガッ」

人狼「なら良いけど……。この家の中だな、知った場所か?」

女「ブヒブヒ」

 見覚えは無かった。二階建ての、どこにでもありそうな家だった。
 灯りは一階の居間と思しき位置からのみ、こぼれている。


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