過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」
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5:貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[saga]
2011/01/26(水) 20:28:01.96 ID:KPu69xg30


指の間を砂が滑り落ちていく感触が好きで、少女は飽きることなく砂をスコップで叩く。
崩さないように、慎重に力を加減して形を整えていく。
先ほどまで一緒にお城作りに精を出していた友達はすでに母親が迎えに来て帰ってしまった。


それを寂しいと思うことはない。
それ以上に、目の前の作品を完成させることが少女にとっては重要な命題である。


その集中力に絹旗は呆れるよりも感心する。

「せんせぇ、そこちがうの!!」

「ああ、ゴメンなさい。こうですか?」

「も〜!ぜんぜんちがうの」

「超ゴメンなさい…」


時折、少女の意図に反し、その度に可愛らしいお叱りを受ける。
帰ってしまった少女の友達の代わりに、少女をサポートしているのは、少女の面倒をいつもみている彼女の役割だ。

空が青から橙へと夕暮れを色濃く表し始めていることも、少女から集中を削ぐには足らないようだ。
少女のイメージしているお城と目の前の不可思議な尖塔がどれほど近いのか、絹旗には皆目見当もつかないが、
頷きながら砂を継ぎ足しているところを見ると、それなりに納得しながら作れているようだ。

少し気取った顔で、尖塔を首を傾げて眺めすかしているさまに吹き出しそうになるのを絹旗はかみ殺す。



不意に、少女がぴくんと顔をあげる。


絹旗は少女のその仕草だけで何が起きたかすぐに察した。


少女はレーダーが反応しているかのようにきょろきょろと首を巡らせると、すぐにお目当てを見つける。
少女の視線の留まった先に、絹旗もつられるように目を向ける。
夕暮れの闇が下りかけている中、完全に溶け込んでしまっている小さな人影。
絹旗はとっさに姿を見つけ出せない。そんな絹旗を尻目に、少女は既に立ち上がっている。

その姿を横目でみてから、ようやく小さな人影が絹旗の視界におぼろげに浮かび上がる。




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