過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」
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850: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/03/06(日) 22:08:45.10 ID:eJSstRhK0
「何ですか、その超面倒くさそうな言い方。私だって夕食の準備くらい手伝えますよ」
一方通行や滝壺には劣るが、人並みには作れるのだ。
如何にも不満タラタラの絹旗に、溜息を吐くと一方通行は瞳を逸らしながら煩わしさを滲ませた声を上げる。
「テメェはホントに沸点低いヤツだな。ガキ共の前で猫被ってる反動か。……お前、それ新しい服なンじゃねェの?」
「あ…えっと、コレは」
そういえば、カーディガンは麦野のだとは言っていない。
初めて見た一方通行が、それを新しく買った物だと勘違いしているのだ。
そして、それは一方通行が絹旗が普段から身に付けている服にもさり気無く気に留めておいていたということでもある。
一方通行の言葉の意味が絹旗の中に染み渡るまで、一瞬、奇妙な沈黙が生まれる。
「あ……う…そうですね…じゃ、じゃあ超大人しくしてます」
特別なことを言われたわけではないというのに、頬が熱を帯びていく。
絹旗は熱くなった頬を見せないようにそそっと小走りにリビングへ引っ込む。
ソファに座ると、無性に落ち着かず、手近なクッションを抱きしめる。
(うあぁーー…何でしょうか。何だか無性に超恥ずかしいんですけどーーーー)
それは、他の男に言われた言葉であるのならば、例え浜面のように親しい男だとしても、ここまで絹旗は照れはしなかっただろう。
ただ、相手があの一方通行だったのが問題だった。基本的に他人に興味を示すような人間ではない彼。
興味の落差が激し過ぎる程に激しい男が、普段からの自分の服装に注意を向けていたことが問題だったのだ。
勿論ただの気まぐれだったのかもしれない。学園都市第一位の男の記憶力から言えば完全記憶能力とまではいかずともその程度楽々と覚えてしまっているだけなのかもしれない。
しかし、それでも絹旗の思考はついつい自分にとって非常に都合の良い、甘酸っぱい方へと持っていきたがる。
(うあーうあーううう…はう…)
絹旗はパタパタと足をばたつかせながら、自分で招いた都合の良い思考に、自分で悶える。
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