過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」
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938: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/03/10(木) 21:41:45.27 ID:URvLCU7D0


「いいじゃん。無理にお姉さまが気に病むことってないんじゃね?」

美琴の膝の上で、無邪気に寝息を立てる少女に目を向ける。
その泰平楽な寝顔にデコピンの一発でも食らわせてやりたくなる。
すれば確実に一方通行がキレるだろうが。
番外個体も、打ち止めもこの少女がに対して複雑な思いを抱いている。嫌いなわけでは決して無い。
ただ、呑気に好きだとも断言できない。
自分達の場所を奪った張本人だから。

「あのウニ頭が全部やらかしたことなんだしさ。それに……」
「それに?」
「それくらいの代価は払ってくれなきゃミサカ達納得しないよ」


美琴は言葉に詰まる。
然程人の感情に敏感ではない美琴にも番外個体の言葉の意味が伝わったからだ。
それは美琴が妹達に対して抱いている罪悪感を刺激する言葉だった。
妹達が憧れていた男の子供を産み、更に、それとは別の妹達が恋い慕っていた男を事実上独占しているのだ。
最も、そうは思っていても妹達はそれを直接美琴には伝えない。心の中にしまいこんで置く。


妹達の多くが美琴を姉として慕っているからだ。
自分が生まれてきた事を喜びに思い、そのきっかけを与えてくれた美琴を姉以上に母のように思っている者もいる。
しかし、多くであって、全てではない。
妹達の負の感情を集めるように生み出された番外個体はそれを良く知っている。
当然の話だ。1万人の妹達が全員同じ人物に同じ感情を抱くわけがない。
個性が分化されるに従って、それは顕著になる。一方通行を強く憎む個体がある一方で、上条当麻を何とも思わぬ個体もいる。
美琴を崇拝にも似た眼差しで見る妹もいれば、ひたすら嫌悪を抱く妹もいる。それが個性というものだ。
故に、打ち止めもそのことを悲しく思いはすれども、矯正しようとはしなかった。
何より、一方通行と冥土返しがそれを止めた。

毎日死ぬ事ばかり考えている個体もいた。生まれてきた事をひたすら苦痛にしか思えない個体もいる。
無垢な少女が騙されてしまっただけとわかっていてもこの世に生まれてしまう切欠を与えた女だと恨む個体もいる。
それなのに、一人だけ学校生活を楽しみ、友人と笑い合い、恋に浮かれ、表の世界で光を浴びてひまわりのように明るく生きる少女を憎む個体もいる。
それは全体数から考えれば一、二割程度でしかない。しかし、その一、二割を十全のものとして生を授かったのが番外個体のだ。
故に、彼女は御坂美琴を、他の妹のように慕いもしなければ賛美もしない。





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