過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」
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937: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/03/10(木) 21:40:59.43 ID:URvLCU7D0
「子供ってホント、玩具の犬とかお猿さん思い出すわね」
「は?」
愛しげに想の髪を撫でていた美琴の突然の呟きに番外個体は間の抜けた声を上げる。
突然何を言い出すのだろうかという怪訝な表情を気にも留めず、美琴は想の綺麗に揃えられた前髪を指先で弄ぶ。
「子供の頃遊んでたんだけどさ。よちよち歩く電池で動く縫いぐるみとか、シンバル叩くお猿さんとか。可愛い動きするんだけど、電池が無くなるとぴたりって止まるの。
子供も一緒だね。遊んで笑って走って、それで電池が切れたらぱたんって眠って」
「単純な構造だね〜ぎゃはは」
「うん。単純だわホント。でも羨ましい。何でもそうやってシンプルに生きられるって、凄く綺麗なことだもの」
「お姉さま?」
窓の外に視線を移す。
何を考えているのか、その横顔から番外個体は計ることが出来ない。
「里帰りする度に何だかヘコむわ。罪悪感って未だに拭えないもの」
里帰りをする度に、美琴は自分の両親だけではなく、上条当麻の両親にも会う。
家がお隣同士だからというわけではない。今は亡き自分の息子の恋人だった少女に彼らもまた会いたいのだ。
息子の思い出を共有するものとして。
「騙してるわけじゃないんだけどさ」
想の髪を擽る。
彼らは知らない、美琴が連れてくる少女が自分達の孫であることを。
知らされていないし、仮に知ったとしてもすぐに土御門等の手によってその記憶は消される。
上条当麻に関する名残、痕跡はあってはならないのだ。
故に、彼らは想を見て「ママに似て可愛らしいお嬢ちゃんだね」と言って頭をなでる。
娘が欲しかったという詩菜に至っては、猫可愛がりだ。
未だに深窓の令嬢を髣髴とさせる、信じがたい若々しさを誇る詩菜と、彼女に懐く想。
その光景は微笑ましくも悲しい。美琴はいつ目にしても泣きたくなる。
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