過去ログ - 紬「アイスの棒で?」
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19:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]
2011/01/31(月) 05:18:28.96 ID:FEAaW2qY0
 思わず、先輩と顔を見合わせた。
 
「私、アレ大好きだったんだー。小さい頃は毎日毎日、お墓作って遊んでたなあ」

「唯ちゃん? 何なの、そのお墓遊びって。アイスの棒に名前を書いてお墓を作るの? 意味がわからないわ、お墓は石で作るものでしょ?」

「やだなぁムギちゃん。子供の遊びだよ。アイスの棒をお墓の石に見立ててね、それで小さなお墓を作るだけだよ」

「えっ……それ……遊びなの?」

 ムギ先輩の疑問も尤もだと思う一方で私は、禁じられた遊び、という古い映画を思い出していた。
 生き物の死、というものがよくわかっていない幼少期にやる、少し残酷な遊戯。
 まさか、この年になって再びそれを思い出すなんて。
 部室に、奇妙な空気が漂い始めた。

 あっけらかんとした顔で、子供の頃のおぞましい行為をムギ先輩に説明する唯先輩。
 それを何とも言えない表情で聞き入るムギ先輩。
 どうフォローしていいのか……いや、そもそもフォローをする必要があるのかわからないといった感じの律先輩。
 先ほどまで紅潮させていた顔を真っ青にして怯える澪先輩。
 そして、ただただ呆然とする私。
 無邪気な人だとは思っていたが、いざ『お墓遊び』などという不穏な単語をその口から聞くと、何だか印象が変わるものだ。
 そういえば、私はどうだっただろう。小さい頃、私もそういう遊びをしていたのだろうか。

 古い記憶を辿ってみても、唯先輩の話に合致する思い出は一つもなかった。

「色々埋めたっけ……アリでしょ、トンボに、セミ、あと、カブトムシなんかもお墓作ったよ」

「な、なあ唯、思い出話はその辺にして、そろそろ練習にしないか?」

「えっ? あ、うん、そうだね。実はこの話、あんまり良い思い出じゃないんだ、あはは」

 その割には随分と口元が緩んでいた気がする。
 まだ続きがあるのだろうか。聞きたいような聞きたくないような。


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