過去ログ - 面接官「えーと、次の方…ちっ、なんだ無能力者か」 佐天「…」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga sage]
2011/02/25(金) 23:39:08.46 ID:UjkL0R930
街灯の光を頼りに歩みを進める私と佐天さんの間にはひとつの言葉も存在しなかった。
その代わりに張り詰めるような緊張感だけが、二人の間を繋いでいた。
そして、目的の場所へと近づくにつれその緊張感は存在をましていく。
それは目の前に簡素な柵があらわれ、立ち入り禁止という言葉が眼に入ることで最大に達した。
「ここですの。」
一言で説明を終えると佐天さんは十分すぎるほど理解できように視線で答えを返した。
事件からはかなりの時間がたっていることから、もう警備には人員を割いていない。
だが、形だけの立ち入り禁止とはいえその役割は立派に果たされていた。
この場所に限らず周辺を含めて人の様子は感じられない。
通り魔による犯行の可能性がある以上、ここに近寄ろうとする人間がいないのは当然のことだった。
「最後にもう一度だけ確認しますわ。
本当によろしいんですの?」
佐天さんと向き合い、ゆっくりと言葉を投げかける。
こちらをまっすぐにみつめる彼女の瞳には若干の後悔が表れている様に思えた。
しかし、それ以上に強い決意が体全体から感じられるのも事実だった。
少しの間、ほんの2,3秒だろうがその間に様々な思いが彼女の頭の中を駆け巡ったに違いない。
バッグを抱きしめながら、大きく開かれた唇から発せられた返答はとても短かった。
「はい。」
どちらからともなく頷いて、柵を乗り越えた。
街灯の光もとどかない建物と建物の隙間。
それだけが理由とは思えないほどの暗さが、その空間にはあった。
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