104: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/02/25(金) 19:10:07.11 ID:p8DvCwaco
「俺はお払い箱ってコトか……」
『君の能力に関しては高く買っていたつもりだったがね。彼らにとっては少々のんびりとしすぎていたようだな』
淡々と、興味がなさそうな声で、アレイスターは告げる。
木原にとってそれは、研究者としての解雇宣告に近いものだった。
担当していた対象を、横から奪われた。
それも、とっておきと、至高と言っていいものだった。
「不満はその早漏ジジィ共にぶつけてもオッケー、ってことでいいのか?」
『好きにしたまえ。学園都市としての意見は変わることはない』
「二、三人ぶっ殺してみたら面白いかも知んねぇなァ?」
『補充ならいくらでもいる。好きにしたまえ』
先程と全く同じ声で。
全く同じテンションのままで、アレイスターは言葉を紡ぐ。
それは、木原の提示した行為が、全くの無駄であると告げていた。
『まさか君がそこまでアレに入れ込んでいるとは思わなかったがな。噂の木原一族とは随分甘いものだったのか?』
「あーあー、笑わせてくれなくてもイイんだぜ? 俺はただ『学園都市最強の器』に興味があっただけだってーの」
ギリッ、と奥歯を噛みしめる。
それは無心でのことだった。
木原自身でも意識したわけではない。
ついやってしまった、というもの。
『ふむ……アレが君を変えた、ということか』
「だーかーら、いちいちネタを提供してくれなくても良いって言ってンだろ?」
『アレを君から遠ざけるのは間違いだったかもしれないな』
「ハハッ! テメェに言われちゃ世話ねーわ。これも全て『プラン』の内だってことかよ」
木原は虚空を睨む。
もちろん、そこに何かがいるわけではない。
どこでもよかった。
どこであろうと、アレイスターは確実にこちらの姿を捉えているだろう。
『心配してくれなくとも委細問題はない。あの「ベクトル演算装置」はこちらで預かる』
「ケッ………美味しい所だけ持っていくたぁな」
『君に無事完成した「一方通行」を見せられる事を祈っているとしよう』
プツン、と回線が切れる。
無音になった研究施設は、途端に広く暗く感じられた。
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