179: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/04/08(金) 07:02:04.46 ID:s6ktP7hNo
端末のキーボードに手を伸ばした初春に、白井は目を丸くする。
「白井さん一人にやらせて逮捕でもされれば、私や御坂さんも捕まるかもしれませんし」
花飾りの少女の指が、キーボードで踊る。
「御坂さんと白井さんの背中を守るのが私たちの仕事だって、佐天さんとも約束したことですしね」
「協力、素直に感謝しますわ」
「無事に事が済んだら、ですね」
初春は素早い動きで医療機関のコンピュータへとアクセスしていく。
何重にも掛けられたプロテクトの穴を抜け、最深部を目指す。
「初春、どうですの?」
「なんとか……なりそうです」
見つけ出した符丁の合致するファイルを入手し、足跡を残さないように慎重に蓋を閉めていく。
素早く動いていた指の速度が少しずつゆったりとなり、最後のキーを押す音が静かな部屋に響いた。
「………無事ですのね?」
「今のところは、ってとこですね」
ふぅと息を吐き、初春は入手したファイルを展開する。
簡単なテキストファイルには、意味不明の文字列が並んでいた。
「暗号、ですの?」
「みたいですね……どこまで解読できるか、正直あんまり自信がないです」
そう言いつつも、初春は真剣な目で文字列に目を通し、幾つかのプログラムを立ち上げていく。
「任せますわよ、初春」
白井の言葉も、彼女の耳には届いていないだろう。
それくらいに集中しているようだった。
白井はそんな彼女の背中を見て、口元を緩める。
一人でもなんとかする、と言ったものの、正直彼女の力がなければ何にも出来なかっただろう。
(現状でわたくしに出来る事はありませんが……)
近くにあったパイプ椅子を引き寄せ、それに腰をかける。
(目標を捕まえたら、そこからはわたくしの出番ですわね)
右袖につけた腕章に目をやる。
その印を捨てることになったとしても、白井は走る覚悟を決めていた。
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