272: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/05/21(土) 22:00:16.09 ID:rSOcrOj0o
第四章 黒髪の少年 Imagine-Breaker.
1
「なに、やってンだ……って?」
一方通行は紅い唾を吐き捨てる。
口の中で感じる血の味も久々のものだった。
「見て分かンねェのかよ……レベル6を生み出す為の実験って事くれェ知ってて来たンだろォがよ」
別れたときと同じように、真っ直ぐに向き合う。
ただ、それはかつてのように親しげなものではなかった。
獰猛な獣同士の、睨みあいにも似た雰囲気だ。
「そんな事を聞いてんじゃねぇ……テメェはその手で、その力で、何してんだ、って聞いてんだよ」
上条は一方通行を睨む。
「能力を開発して、レベル上げて……テメェは何してたんだよ」
上条の声に混ざるのは落胆。
友人がやってきたことは、目の前の惨状を見れば分かった。
走ってくる間に、近づいてくる間に聞こえた声。
かつて聞いた、見知った声に、足取りも重くなった。
「………久々に会ったかと思えば、テメェは何を言ってやがる?」
引きつった笑みを浮かべ、一方通行は上条を睨み返す。
「実験には実験動物がつきもの、ってのは常識だろォが……ワクチン開発のモルモットと、コイツらクローンの、何が違うってンだ」
先刻、美琴に告げたのと同じ内容の言葉。
だがそこには、明らかな動揺が見てとれた。
一方通行自身、自分に言い聞かせるようにしているようにさえ見える。
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