273: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/05/21(土) 22:00:52.38 ID:rSOcrOj0o
「研究者は言ってたぜ? 『薬品と蛋白質で構成された人形だって』な」
一方通行の言葉は事実だ。
レベル5として、第一位として安定しだしたその能力を更に進める為の実験。
そこに関与してきた研究者たちは皆、口を揃えて言った。
『目の前の人形を壊すだけだ』
目の前で意志を持って動いている彼女らを指して、『人形』だと言った。
それをハナから鵜呑みにするほど、一方通行も馬鹿ではない。
自らが関わっておいて信じられなかったその実験手法が、いつの間にか当り前になっていた。
「この実験の為に作られた人形をぶっ壊してるだ―――」
「……グダグダうっせぇよ」
一方通行の言葉を区切り、上条は叫ぶ。
「俺はこいつらの事も詳しくは知らない。どういう存在なのかも知らねぇ……だけどな、こうやって生きてる以上、人形なんて呼ばせねぇ」
ちらり、とすぐ近くにいるミサカ9982号に目をやる。
上条には分からない。
この個体が9982体目であることも、10000体以上のクローンがいる事も。
「例えクローンであっても、ボタン一つで大量生産出来るのだとしても、ここにいる妹はこいつだけだろうが!」
上条の言葉に、ミサカ9982号はハッと息を飲んだ。
この少年は何を言ってるのだ、と。
自らのオリジナルである美琴の友人であるとはいえ、一瞬顔を合わせただけではないか。
ほんの一言、自己紹介にもならない言葉を交わしたのみ。
それなのに。
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