310: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/05/31(火) 19:01:58.87 ID:RaCc1kI5o
「でも……行かなきゃだめなんです」
「君も僕の患者だ。処置を受ける前に帰すわけにもいかないんだけどね?」
「アイツが……妹をあんなにした場所に、お節介を一人で置いて来てるんです」
美琴は医師から目を放し、一歩前へと進む。
そう。
いつまでも上条を放っておくわけにはいかない。
全く歯が立たなかったとはいえ、レベル0を闘わせておいて、レベル5がのうのうとしているわけにはいかない。
ふむ、とイマイチ納得出来ていないような医師を置いて、美琴はもう一歩踏み出した。
「闘う覚悟は、あるんだね?」
「……例え、私がどうなっても―――」
「そうじゃないね。その戦場に戻っても、君は絶対に手を出しちゃいけない。戦っちゃいけない」
美琴の足が止まる。
確かに何もできないかもしれない。
かえって邪魔になるかもしれない。
それでも、何もしないよりはマシじゃないか、と。
「君の気持ちも分かる。だけどね、もし君がそこで怪我でもすれば、君を必死に逃がしたそのお節介さんの意思はどうなるんだい?」
美琴は唾を飲み込む。
何のために上条が身体を張って逃がしてくれたのか。
ミサカ9982号と共に、命の危機から救い出してくれたというのに。
その意志を曲げてまで、戦場に飛び込む意味があるのか、と。
カエル顔の医師はそう言っていた。
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