327: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/06/08(水) 20:27:54.13 ID:e3d7NYMPo
(そういえばコイツ……その時もおかしかったよな)
攻撃にキレがない。
手加減、と言えばそれまでかもしれない。
準備体操だと、運動だと、健気な努力を続ける上条への温情采配的なものと言われればそうかもしれない。
だが。
そのキレのなさが、どこか心の奥から来るものだとしたら。
(もしアイツが、自分では止まれないなら―――)
目の前のレベル5が、凶悪な実験に身を投じていた少年が。
誰かに止めて欲しいと叫んでいるとしたら。
(俺も守ってばっかじゃダメだよな)
一方通行の伸ばした左腕をかわし、上条は身体の重心をずらす。
ちょうど攻撃を受け流したような形で、上条は相手の左懐へと潜り込んだ。
「うおおおおおおおおおお!!」
拳を握る。
支点をずらされ、初動の遅れた一方通行も右手を握っていた。
腰を捻り、腕を振りかぶる。
全身の力を込めた一撃が、一方通行の脇腹へと突き刺さる、
「ごフッ!」
ぐらり、とよろめく一方通行に対し、上条は一瞬だけ顔を曇らせた。
喧嘩に情けは無用だ。
相手を気遣っていては倒せるものも倒せない。
それでも。
少しだけ、後ろめたいものを感じる。
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