96: ◆XtjOmDyc46[saga]
2011/02/23(水) 20:01:54.39 ID:tiOfvahqo
「逃げんのかよ」
「時間切れ、つっただろォが」
「第一位の名が泣くぞ?」
「ハッ……勝手に言ってやがれ」
プチッ、と。
麦野の中でメーターが振り切れる。
高ぶった感情に任せ、その足を一方通行に向けて動かした時だった。
ジャキッ! と周囲を囲んでいた『妹達』の持つ銃口が麦野へと向けられる。
これ以上動けば、『オモチャの兵隊』と呼ばれるマシンガンが火を吹くことになる、と暗に宣言されているような状況だった。
レベル5である麦野にとって、レベル3程度の『発電能力者』などそれほどの脅威にはならない。
ただ、相手が武装した『妹達』となると話は別だ。
基本的に『防御能力』をもたない『原子崩し』にとって、この状況は最悪とも言える。
飛んできた銃弾を消し飛ばすことくらいは容易であるが、全方位から雨のように降り注ぐであろうそれを迎撃できるほど器用な能力でもない。
自らの身体を犠牲にして全力を出せば、『妹達』ごとこの周辺を吹き飛ばすことが出来るかもしれないが、そこまでする状況ではない。
「チッ………」
一方通行の追跡を諦めて肩に入った力を抜くと、くるり、と『妹達』に背を向け、麦野は一方通行が去った方向とは逆へと歩いていく。
それを見取った彼女らは銃口を下げ、周囲の処理に取り掛かっていく。
(一方通行をレベル6にする事に何の意味があるか、だね)
麦野はふむ、と頭を悩ませる。
(「絶対能力者になりました。ハイオメデトー」で済むわけはない)
何かあるかにゃーん、と、麦野は新しい玩具を与えられた子供のように表情を緩める。
それとほぼ同時だった。
「麦野の能力にも動じないとは、流石は第一位と言ったところでしょうか」
そう言って、感心したような表情をしたニットワンピース少女に続き、金髪ベレー帽少女が現れる。
「結局、麦野は一方通行に構って欲しかった、って訳よ」
「フレンダ……よっぽどオシオキして欲しいのかしら?」
得意気に笑うフレンダと呼ばれた少女の肩を、麦野はポンと軽い調子で叩く。
上司が出来の悪い部下にするかのようなその動作は、フレンダと呼ばれた少女の動きを止めるには十分すぎる効果を発揮した。
卯木のの表情は笑顔のように見えるが、明らかに目だけが笑っていない。
「だいじょうぶ。私はそんな余計な事を言うフレンダも応援してる」
「い、いやああああああ!? 応援してないで助けてぇええぇっ」
ぎゃあぎゃあと争っている場所から少し離れて、ニットワンピースの少女、絹旗最愛は小さく肩をすくめる。
「ま、超平常運転、ってことですかね」
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