235:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]
2011/03/24(木) 00:01:10.16 ID:MpbfDiev0
「父親が来るなんて、なんで言わなかったんだよ」
「私だって知らなかったわよ!」
目の前のテーブルにはお茶が注がれたコップが用意され、囲む3人は正座。
ヒソヒソ声で彼と密談するがあまりにも突然のことで、彼も私も心の余裕がないのが分かる。
すっと父親が手を伸ばし、コップを取る動作にも二人そろってビクリとする。
一気に飲み干し、コップを元に戻す動作にもなんらかの意味があるのではないかと勘ぐってしまう。
自分の一人娘が、男とこんな時間に一緒にいたのだ。
何故父親がこの部屋の場所を知っていたのか分からない。
もしかしたら虫がついていると言う噂を聞きつけてやって来たのかもしれない。
何を言われるのかは分からないが、十中八九、心境は穏やかではないだろう。
「さて……」
またしても、二人そろってビクリを身体を震わし、背筋を伸ばす。
説教の一つでも来るか?
そう身構えたが、発せられたのは叱咤でも世間話でも無かった。
「娘の元気な姿も見れたことだし、帰るとするか」
呆気に取られ、見つめることしか出来ない私であったが、部屋のドアが閉まる音を聞いて我に返る。
「あ、ちょ、待ってよ!」
追いかけて私も外に出る。
父親はエレベーターが来るのを待っていた。
「聞かないの……?」
「何を聞くんだ?」
「その……彼のこととか……」
「聞いてどうするんだ?」
「怒ったり、してないの?」
父親は、わざとらしくため息をついてから言った。
「お互いにキスマークを付け合っちゃって、それじゃ親の入り込む余地なんて無いんじゃないの?美琴ちゃん」
私は顔を真っ赤にし、ババっとキスマークのある首元を隠す。
父親はそんな私を見て笑いながら、
「まだ孫は早いからね?」
と言い残し、来たエレベーターに乗っていってしまった。
追撃を喰らい、立ち尽くす私にいつの間にか追いかけてきた彼が問いかける。
私は彼の方を向き、結果だけを報告する。
それを聞いた彼もまた、顔を真っ赤にし首元を隠すのだった。
297Res/125.65 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。