過去ログ - 上条「精神感応性物質変換能力?」
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91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/03/27(日) 21:31:21.94 ID:G14G1ccfo
「あなたは誰ですか? とミサカは名を訊ねたいのですが、先に名乗るのが礼儀なので、ミサ
カはミサカですとミサカは懇切丁寧に挨拶をします」
「俺はカズマ、苗字のねえ、ただのカズマだ。よろしくな」
 一九〇九〇号の奇矯な言い回しにカズマが動じないのは、それ以上にイカレた男をよく知っ
ているからだ。
「よろしくお願いします、とミサカはあなたの名前に親近感を覚えます」
「どっちも三文字で他に何もつかねえからな」
「ミサカには一応、一九〇九〇号という検体番号がありますが、とミサカは詳らかにします」
「俺もNP何とかって呼ばれたことがあるぜ。でもな、あんなものはただの記号だ」
「あまり楽しい思い出ではないようですね、とミサカはあなたを気遣ってみます」
「それなりに酷い目に遭ったからな。ま、おかげでいい喧嘩相手が見つかったんだから、それ
も悪くはないさ」
「ミサカもいい喧嘩相手を求めてみたくなりました、とミサカは目標を見つけられたことに感
謝します」
「おう、お前にも本気で殴り合える野郎が見つかるといいな」
「ちょっとアンタ、うちの子に何つーこと吹き込んでんのよ。大体、女の子は殴り合いの喧嘩
なんて――」
 戦慄から復帰した美琴が、すかさずカズマに教育的指導を与える。だがしかし。
「お前が言うな。俺が並のヤツだったら死んでるぞ?」
「アンタが並のヤツだったら私だってやらないわよ!」
「カズマがお姉様の『いい喧嘩相手』なのですね、とミサカは強敵と書いて友と呼ぶ誰かと、
河原でゴロ巻く日々を夢見て胸を熱くします」
「何でいきなり武闘派になっちゃってるのよ! あと、ゴロには『ステ』をつけなくちゃダメ
だからね? 武器の使用はお姉さん認めないからね?」
「ミサカはいつだって『完全武装』です、とミサカはお姉様に申し上げます。『鋼鉄破り』の
運用も問題ありません」
「いやいや問題ありまくりだから! 『メタルイーターMX』をぶっ放す喧嘩なんてありえな
いんだから! アンタも言ってやんなさいよ、武器はダメだって!」
「そうだな、武器はもっと大きくなってからだ。まあ、俺は子供の頃から使ってたけど、男の
子だからな」
「意地があるのですね、とミサカは女の子にも意地はあると主張します」
「って、アンタは武器なんて持ってないじゃない!」
「あるじゃねえか、ここに二つ」
 カズマは両手をかざして見せる。それは武器というより凶器だ。
「拳が武器! そういうのもあるのか、とミサカは認識を新たにします」
「……そうね、拳なら許可するわ……」
 これは敗北じゃないと心に言い聞かせ、美琴は奥歯を噛み締めつつ同意する。

「やあ、遅くなってしまったよ。ちょっと複雑な手術だったのでね?」
 そして現れたるはこの集団でもっとも常識に近い男、カエル顔の医者である。
 とはいえ、それは『比べれば近い』というだけであり、真の意味合いにおいての常識人など、
この場には一人としておらぬ、という事実を忘れてはならない。
「初めましてミサカです、とミサカは名乗りを済ませ、どちら様ですか、とミサカはあなたの
見事なカエル顔に感動しつつ訊ねます」
「僕はここの医者だよ。今日から君を担当するからね?」
 カエル顔は絶妙な返しで名乗りを回避する。たぶん慣れているのだろう。
「ミサカはどこも悪くありませんが? とミサカは当然の疑問を投げつけます」
「それは追々説明するよ。必要な機器もまだ届いていないしね?」
「了解しました、とミサカはとりあえずあなたを信用することにします」
「うん。さてと、僕は昼食がまだなんだけど、皆も一緒にどうだね?」
「そういや腹が減ったな」
「私も朝から食べてなかったわ」
「記念すべき初めての食事に胸が高まります、とミサカはお腹が空きました」
「布束君はどうするね?」
「そうね、私も一息入れようかしら。夕べから食べてないし」
 それがこの羨ましいスタイルの秘密か、と御坂姉妹はすかさず胸に刻む。大事なことなのだ。

 二人が注文したのはもちろん、布束と同じメニューだ。一方的な師弟関係の始まりである。

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