過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.8
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43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/03(木) 03:11:33.45 ID:RA85mHvdo
黒い紙に赤色のスプレーで大きく×を描いたようなジャケットのケースを見て、黒猫が声を掛ける。やっぱり、普通は知らないよな。

「黒猫氏はご存知ないようですな。これは『ゼノギアス』というゲームでして、発売から15年ほど経った今でも、非常に評価の高いゲームなのですよ」
「名前くらいは聞いたことがあるわね。で、それを何故あなたが持っているのかしら?」
「兄貴から話を聞いてさ、少し興味が湧いて沙織に聞いてみたのよ。そしたら"持ってる"って言うから、借りてみたの。結構面白かった」
「黒猫氏も如何ですかな?」
「せっかくだけど、遠慮しておくわ」
「それは残念ですな。しかし、言ってくださればいつでもお貸ししますぞ」
「ありがとう」

沙織は桐乃からゲームを受け取ると、いつも背負っているリュックにそれを収めた。そして、新たなゲームケースを三つ、取り出す。

「では、これが約束の品です」
「ありがと」
「なんだ、そりゃ?」

沙織が新たに取り出したゲームを桐乃が受け取る。一番上に置かれていたパッケージには『Xenosaga』と書かれていた。

「これは『ゼノサーガ』と申しまして、ゼノギアスの主だった製作スタッフが別会社で発売したゲームです」

まさかそんなモノが発売されていたとは・・・・・・。このことは俺も知らなかった。

「続編、ってことか?」
「いえ、正式な続編ではありません。しかし、ゼノギアスと通ずるところもありますので、ファンにとっては押さえておきたい作品ではありますな」
「そうなのか。しかし、なんで三つもあるんだ?」
「このゼノサーガはこの三つで一つの作品なのですよ。映画でもあるでしょ?前後編に分かれていたり、三部作のものだったり。これも、言うなれば三部作品なのです」
「へぇ」
「これ以外にも『ゼノブレイド』という作品がありまして、こちらは関連性は無いものの、新たなゼノシリーズとしてなかなかの評価を受けております」

まだあるのかよ!
せっかく時間も出来たし、機会があればプレイしてみようかと思っていたが、流石にそんなにあるとやる気が起きないな。
しかし、桐乃はこの……ゼノサーガだったか?を借りたということは、プレイする気なんだよな。それと並行してメルルやエロゲもやるんだろうし。
いつ寝る気だ、コイツは。
桐乃は沙織から受け取ったゲームを鞄に入れ、その後はいつものように四人でのアキバ散策を楽しんでいた。



時間はまた経って、今は四月。
無事に入学を果たし、新たな生活に向けて意気揚々としていた俺に、桐乃は部屋に来るように言ってきた。
最初に人生相談を受けてからもう2年。随分と時間が経ったが、人生相談は相も変わらず継続中だ。
高校生になっても、うちの妹様は悩み多き乙女のようだ。まぁ、俺も頼られるのはイヤじゃない。去年の後半は、受験のことを気遣ってあまり相談には来なかったしな。
しょうがない。行ってやろうじゃないの。
桐乃の部屋の前まで行き、ドアをノックする。桐乃からお許しを貰い、俺はドアを開けて部屋に入ったんだが……。
あれ?なんか、前に入ったときと違う?いや、大きくは変わってないんだが、なにか違う。
俺はその違和感を突き止めようと、室内をくまなく見渡す。途中で桐乃から「なに見てんのよ。キモ」と罵倒が飛んできたが、今は気にしないでおこう。
そして、俺はその違和感の正体に気付いた。それは桐乃のヲタグッズが凝縮された押入れの中にあった。この時、なぜか桐乃はこのスペースを開放していたんだよな。
その中にはフィギュアがあった。そのこと自体は別に不思議でもなんでもない。
でもさ、いつもアイツが愛でているメルルや可愛らしい妹のものとは違うんだ。
褐色の肌に紫のような銀のような色の髪、扇情的なボディラインに機械的な衣装を身に纏った大人の女性、
それとは色違いの青っぽい髪に色白の肌、ドデカいガトリングを持った、扇情的なボディラインに機械的な衣装を身に纏った大人の女性のフィギュアとかが置いてあった。
そして押入れの下のスペースには、見覚えのあるパッケージのゲーム、それとは別に可愛い妹がはじけているようなパッケージじゃない、
さっきのフィギュアと同じキャラと思われる人物が印刷されたものや、どこかの草原に赤い剣っぽいものが突き刺さっているものがあった。

「あの、桐乃さん。このフィギュアとかは?」
「ああ、それ?沙織に借りたゼノサーガに出てくるKOS-MOSとT-elosのフィギュア」

オーケーオーケー。なんとかまだ理解できる範囲内だ。だがこれを買っているということは、思いのほかハマったということか。
俺は続けて、ゲームケースを一つ手にとって再度訪ねてみる。ちなみに桐乃に見せたのはどこかの草原に赤い剣っぽいものが突き刺さっているパッケージのヤツだ。

「これは?」
「それはゼノブレイド。ほら、先月集まったときに沙織が言ってたでしょ。あの後、ついつい買っちゃったんだよね」

おおう、やはりか。いや、おもいっきり『Xenoblade』って書いてありますからね。わかりましたよ。そして、桐乃がゼノシリーズに結構ハマってることもな。
そんなことを考えていると、桐乃は急に屈み、押入れの下のスペースをガサゴソと漁りだして、いくつかの小さいケースを取り出した。

「これはゲームサントラ、アレンジアルバム、ドラマCD。んで、こっちが……」

あらかたCDを取り出した後、次は何やらデカい本を数冊出してきやがった。まだあるのかよ……。

「シナリオブックでしょ。設定資料集。あと小説もあるよ。ゲーム本編とは関係ない話をしてたりするけど」
「それ、全部買ったのか?」
「うん!あのね、最初は意味がわからないこともあったんだけど、資料とか見たりしてたらさ、色々と深い設定があってね。それを理解したうえでプレイすると、また違った味わいがあってさ……」

なんというデジャヴュ……。一番最初にコレクションをお披露目したときと同じ展開じゃねーか。
しかもなんやら聞き覚えの無い用語をポンポン言ってきやがる。まるで黒猫と話しているようだ。
妹よ、気付いているか?今のお前は、常日ごろ厨二病と揶揄している黒猫と同じ状態になっていると。
まさか、懐かしさのあまり買ってしまったCDが発端でこんなことになろうとは……。
俺は今、昔の俺にすごく忠告したい気分になったよ。

おわり


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