過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.8
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968:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)[sage saga]
2011/03/26(土) 12:46:01.68 ID:4VMu2sJ5o
「そういえば、なんで今はしゃべり方が違うんですか?」
「ん?ああ。だってよ、今はブリジットはオフなんだからさ。そんな時まで仕事っぽい雰囲気にしたくないだろ」
「そんなこと、気にしなくていいのに……」
「そういうことを気にするのが、マネージャーなんだよ。それに本音を言うと、あの話し方、結構疲れるんだわ」
「ぷっ……ふふふっ」

俺の話しぶりがおかしかったのか、ブリジットはたまらず吹き出してしまった。
全部本当のことなのだが、こうやって笑ってもらえるなら、まぁそれもいいかもしれないな。そんな風に思った。
笑い出したブリジットはそのままに、俺はゲームコーナーを見渡す。ふむ、どうにもブリジットと一緒に楽しめそうなものは無いなぁ。

「マネージャーさん、ひとつ聞いてもいいですか?」
「おう?」

回復したブリジットがまた声を掛けてきたので、俺は再び顔をそちらに向けた。

「マネージャーさんは、その……。かなかなちゃんのこと、どう思ってますか?」
「加奈子のこと?」

改めて聞かれると、実に答えにくい質問が飛んできた。
どう思ってるか、ねぇ……。考えたことも無かった、というのが正直なところなのだが……。さすがにこの答えは良くないだろう。
しかし、なんでブリジットはこんな質問をしたんだろうな。
俺は顎に手を添えながら瞑目し、しばし考えに耽る。

「そうだなぁ……。"手のかかる妹"ってのが、一番しっくり来るかな」
「妹……ですか?」

ま、そういう反応が来るわなぁ。言うに事を欠いて"妹"だもん。
実妹がいる身ながら、ビジネスパートナーを妹と言う俺。本当の妹様や黒猫が聞いたら、「どんだけシスコンだよ」と言われるに違いない。うん、絶対言うわ、あいつら。
でもな、これがぴったり来るんだからしょうがない。

「アイツ、ちょっと頑張りすぎるところがあるから、見ててハラハラするし、ほっとけねえんだ。それに、俺の最初の担当だからな。ついつい贔屓目で見ちまうし」
「……そうですね。かなかなちゃん、すごくがんばってますもんね。よく見てないと気付かないくらいに」
「そうそう。だからさ、俺はアイツのブレーキ役でもなくちゃいけないんだわ」
「ふふっ。確かに、ちょっとお兄さんっぽいですね」

ブリジットは納得したのか、薄く笑った。
しかしあれだな。小っ恥ずかしいこと言ったな、俺。本人いないからいいけど。

「このこと、加奈子には秘密な。ちと恥ずかしいし」
「はい。わたしとマネージャーさん、二人だけの秘密ですね」
「……は、はは。ま、そうなるかな」

ブリジット、その言い方は良くないとマネージャーさんは思いますよ。だって、なんか響きが淫靡じゃね?
七年もいて、もう日本語は完璧だと思ったんだけどな。機会があればきちんと教えよう。うん、そうしよう。

「マネージャーさん。かなかなちゃんのこと、これからもよろしくお願いしますね」
「おう、任せとけ」

そう言って、ブリジットは俺に頭を下げた。
ほんと、いい娘だよ。こんなに真っ直ぐに育ってくれて、家族じゃないけど嬉しいよ。これからもそのままでいてください。
そんなことを思いながら、俺たちは二階に続くエスカレーターに乗った。

「いいなぁ、かなかなちゃん……」

ブリジットのその言葉は、残念ながら俺の耳には届かなかった。


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