過去ログ - 上条「ラストダンスは悲しみを乗せて」
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/02(水) 19:47:26.40 ID:a+jCRixGo

 その感覚に酩酊するために、自分は道を歩いているのかも知れない、と上条当麻は思った。

 没入感があまりにも心地良いから、つい、ここが現実だと言うことを忘れて、その感覚に浸ってしまいたくなる。

 それでも確かにこの熱気も、光景も、現実だ。

 だからこそ上条は、自らの居場所を忘れたくなるほど逃げ出したかったのだけれど。

 ふっと、意識が目覚めるように浮上して、それまで曖昧にぼやけて見えた視界がクリアになっていく。

 瞬きを繰り返すたびにそれはひときわ鮮やかになっていき、やがて正常な視力が戻ってきた。

 そうすると今度は、耳に入る音までもが、普段と同様の感覚へと近付いていった。

 普段よりも鮮明に、克明に、音が聞こえるようになる。

 それを早めるため、意識的に数々の音の中から誰かの声だけを抽出した。

 その誰かは、どんな言語ともつかない、耳に残りにくい、印象に残らないのっぺりとした音の連なりを吐いていた。

 何かの暗号か、あるいは遊びか何かだろうか。

 そう考えながら耳を澄ませたところで、上条はようやく、自分が耳にしているのが日本語であることにようやく気がついた。

 無意識に人混みを避けて歩いていると、気付けば廃ビルの建ち並ぶ通りにやってきていた。



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