56:松本晶[saga]
2011/03/05(土) 12:34:05.21 ID:NaU/bfWq0
* * *
[15:03]
「いっち番乗りー! ・・・・って、有希が先だったのね。感心感心!」
私は律儀に行動マニュアルに従って、必ず最初に部室に入っている。小さく涼宮さんに礼をする
と、涼宮さんは大きな身振りで返礼した後、頭をわしわしと撫でてきた。・・・・こういうことに関しては、貰ってばかりだ。
頭に残る心地よい体温に気を向けながら、私は手元の本に目を向けた。
「・・・・」
黙。黙。黙・・・・・・・・・。
普段は年中お祭りの涼宮さんも、病人に気を遣ってか勉強に没頭している。
光陽園、流石だなぁ。やっぱり育ちが出てる。
* * *
[15:29]
「すみません、遅れてしまって。積もる話が有りましてね・・・・」
「古泉君。珍しいわね、まぁ集合時間が明確に定まっているわけでもないんだから」
さほど気にした様子もなく、ちらっと古泉君を見て、椅子を差し出して目を教科書に再び落とす。同時に、古泉君が寂しそうな表情をする。
(やっぱり、構って欲しいのね・・・・・)
古泉君は再び涼宮さんに声を掛けた。
「涼宮さん。なんと言いますか・・・・奇妙な偶然。いえ、そう言うべきではないでしょう。からかってくるような故意がありまして・・・」
「おやおや、それは僕の事かい?」
涼宮さんがうんざり、と言った表情で声に反応する。
「またあんたなの? メアリー -----------------」
目を向けた瞬間、呆然とする。
「え-----------確かあんた、市外の進学校に」
「行ってたわ。けれど良い機会だから転校しようかと、思ってね」
佐々木さんが、北高の制服を纏ってそこにいた。
「すいませぇん、教室の掃除が・・・・ふぇ、何でメアリーさんが・・・・」
「こんにちは、朝比奈先輩。・・・・そろそろその呼び名も、もういいわね。
よろしく。私の名前は、佐々木。本日付で県立北高二年九組、出席番号十七番よ」
* * *
[15:41]
「ふむ、有り難う。私もこれで晴れてSOS団の一員、というわけね」
『SOS団門外顧問』という腕章を受け取った佐々木さんは嬉しそうだ。
「彼が楽しそうに話すものだから羨ましかったの。ようやく・・・・、いや、もう、と言うべきかしら。末席に加われて嬉しく思うわ」
彼、と一回口にする度に涼宮さんの眦がきつく上がってゆく。
「顧問・・・・高く買ってくれたようで何よりだけど、門外というのはちょっと寂しくていただけないわ。ヒラの団員の方が性に合うのだけれど、駄目かしら? 涼宮さん」
「・・・・悪いけど、名誉ある団員の地位はまだあげることが出来ないわ。もう少し功績を立ててからじゃないと、秩序の崩壊を招くもの」
これはきっと本音だ。SOS団のルーツになった彼の言う五人と、ちょっとでも彼と関わった鶴屋さん、朝倉さん。それら以外に勝手にメンバーに加えてしまうのは、抵抗が有るのだろう。
「じゃあ、早速功績の方を稼がせて貰うわ。ちゃん仲間に入れて貰いたいから-------------喋る猫。見に行きましょう?」
「・・・・・・そうね」
あっという間にSOS団に馴染んでしまいそうな彼女を見て、唇をとがらせながら涼宮さんは同意した。
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