過去ログ - 長門「------の消失」
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7:松本晶[saga]
2011/03/03(木) 17:52:18.89 ID:2rhgDyLL0
「さて、協力してくれるかな? 出来ればそうあって欲しいのだけれど」

「協力しない、なんて言っても始まらないんでしょうね」

「いやいや、協力しないと一言言ってくれれば君たちは強制送還してお仕舞いさ。強制できる立場ではない。

 でもただ、彼は君たちに対して呵責を感じているらしいんだ。どうあれ、彼は君たちを切り捨てた。だから、君たちにも非日常と日常の選択権を与えたいんだそうだ。

 義理堅さもここまでくると余計なお世話かもね」

切り捨てた。その一言に、のどがきゅっと締まる。

「その自ら救われない方向に自分を追い込む偽悪的なところが、まさに彼だと言えるけれどね。あの状況でああすることは必然だったろうに。

 まぁ、さておき。希望者だけで良いけれど、貴方達はこの不思議に関与してみる気は無いかしら? 体験してみれば至極つまらないものかも知れないけれどね」

「ふむ、困りましたね・・・」

如才ない笑みを浮かべて古泉君は嘆息した。

「僕は涼宮さんに従う、ということにしておきましょう」

「その涼宮さん。あなたはどうなのかしら?」

「ちょっと待って。考えておくから」

「ふぅん」

 佐々木さんは意外そうな顔をした。きっと、この世界の涼宮さんも聞いたとおり不思議が大好きだから-------二つ返事を期待したらしい。

「・・・私と、みくるもきっと、希望するっさ」

「・・・・はい、そうします」

 そうこうしているうちに先輩の二人組は決断した。

「少し悪いことをしたからねっ。こうして実際巻き込まれてみるまで半信半疑だったけど、事実と判ると・・・変わってしまった世界に一人きり。

 見知った相手には拒絶され、教室では居ないはずの相手が居て、居るはずの知り合いが消えている・・・半狂乱になって怪訝な目で見られる。

 辛そうだし、可愛そうっさ」

「私も、そう思いますから」

「んん〜、みくるはやっぱ優しいにょろね〜」

「では、二人決まったところで。後は三人だけね、どうしたいかしら?」

「あたしは---------やっぱり、もちろん、行くわ。

 流されやすいみくるちゃんがあたしの意見を聞いてから判断するってのも悪いと思っただけだから、異存はないわ」

「では、僕もそのように」

 あれよあれよという間に私だけになってしまった。どうしよう、どう言おう。

「長門さ------」

 彼女が話しかけてきて、

「私はっ!」

 と、焦って強く遮ってしまう。顔が熱くなっていくのが判る。

「・・・・ごめんなさい」

「構わないわ。自分の気持ちを言ってくれさえすればいいから」

 なるべく急かさないように言ってくれている気遣いへの申し訳なさに、逆に急かされるように。

「私は、行きたい。判らないことが多すぎるから」

「・・・良し。じゃあ、決まりね。携帯の番号を教えて頂戴、バックアップするために必要だから・・・・くつくつ」

 全ての返答を聞いて、彼女は本当に愉快そうに笑った。

「くつくつ、未来人と宇宙人と超能力者に振り回されたことはあるけれど、その僕が誰かを振り回す役に回れるなんてね。

 さんざん自分たちを振り回してきた憎き異星人を打倒しようという彼らもだけれど、この世はつくづく都合良く、劇的に出来ているみたいだね」


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