過去ログ - あまくさっ!
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34:第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」[saga]
2011/03/06(日) 04:45:32.42 ID:w1T0pmTu0
 ―――とある日、PM08:00、学園都市第7学区、とあるイカレ自動販売機在中の公園・・・・・



それから暫く、二人で話をした。
といっても、彼女が一方的に話をしてきたので自分は聞き役に回るだけ。
それでも楽しそうに話すこの子を見ているだけで、何故か嬉しかった。


絹旗「―――……そしたら皆して私の事『小学生だろ』って。超失礼しちゃいますよ!」プンスカ!

香焼「ははは。それは同意する」クスッ


お互い見た目が幼い故に、同じ苦労をしているらしい。
さておき、話を聞く限りだと、この子にも友人と呼べる人達がいるようだ。


絹旗「ううん。その人達は……仕事仲間、かな」ボソッ

香焼「……仕事仲間?」エ?

絹旗「あ、いや、何でもありません! えっと仲の良い『バイト』仲間って感じなんですよ」アハハ・・・

香焼「自分と同い年なのにバイトしてるんすか。偉いっすね」

絹旗「そうなの、かな……私……」ハハ・・・


何処となく、悲しい笑顔。

余談だが、バイトではないにしろ自分(潜入学徒)にはある程度の給金が入っている。
任務として都市に入っている以上、必要経費と学費、それから余暇を有意義に過ごせる分の額は振り込まれていた。
ただし自分の場合は学校が忙しくて遊ぶ暇が無い為、かなりの貯蓄が溜まっている。

自分で言うのも何だが……灰色の青春とやらかもしれない。畜生め。


香焼「……学校の友達は?」

絹旗「……学校は、一定の研究レポートを提出すれば問題無く卒業できますから……友達なんて、いませんよ」

ぬこ「にゃー」スリスリ・・・

絹旗「ふふっ……オマエは友達かな?」クスッ・・・

香焼「……」


自分は馬鹿だ……何が灰色の青春だ。この子は真っ黒そうじゃないか。


絹旗「……良いんですよ、別に。生きているだけでも幸せなんです」

香焼「そんな事……」

絹旗「あはは……ついでに不幸自慢しちゃうと、私、『置き去り』出身なんです」


置き去り(チャイルドエラー)……学園都市における社会現象の一つだ。所謂、親による子供の『捨子』行為。
原則、入学した生徒が都市内に住居を持つ事となる学園都市の制度を利用し、入学費のみ払って子供を寮に入れ、その後に行方を眩ます行為。
親による養育拒否のケースもあれば、親が死亡・蒸発してしまうケースもある。

ただ学園都市には置き去りにされた子供を保護する制度が存在するが、それを逆手に取り非人道的実験を行う研究チームも存在するという。


絹旗「親の顔なんて知りません。施設も碌なとこじゃなかったから、友達なんて……」フフフ・・・

香焼「……ごめん」シュン・・・

絹旗「どうして謝るんですか? 私の不幸自慢って言ったでしょう」クスッ

ぬこ「なー」

絹旗「……この子と同じなんですよね。貴方がこの子を一時的に助けてくれたように、私も都市に助けられた」


最愛は『そんなもんですよ、世の中は』と猫を撫で続けた。

言葉が……出なかった。


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