136:1だよ[sage saga]
2011/03/15(火) 00:07:47.78 ID:FZQCDlOv0
【少年】
深夜2時を遥かに過ぎた時刻、それは健全な高校生が起きているはずのない時間帯。
しかし電気は付いていて部屋は明るく、
その主はぼんやりとガラステーブルに肘をついて呆けていた。
要するに、彼はその状態で“ねて”いた。
カチャッ
室内に響く解錠の音。
その音が耳に入り、少年の目蓋は開く。
意識を覚醒させ時計を見ると―――――02:56SAT
「もうそんな時間か」
玄関先に視線を移して客人が入るのを待った。
そして―――
「にゃー。本当に起きてるとはびっくりだぜい」
「待ってるって言っただろ?」
金髪グラサンにゃーにゃーシスコン陰陽師、もとい土御門が部屋に入ってきた。
チャイムを鳴らさず合鍵で侵入したのは、もしかしたら彼が少年を気遣ったのかもしれない。
「それで? 何に使ったんだよ?」
「それは秘密ですたい」
少年は呆れるように、そして疑念の眼差しを向けて確認するも、
土御門はまともに答えず、借りたもの―――携帯電話を彼に手渡した。
「本当に、危険なことに使わなかったんだろうな?」
「約束だからちゃんと守ったぜよ」
「信じらんねー」
「ひどっ!!」
三時間ぐらい前に土御門から部屋を尋ねられ、携帯電話を貸してほしいと少年は頼まれた。
最初は嫌だったが、結局いくつかの条件を付けてしぶしぶ貸したわけである。
非常時でもないのに他人に自分の携帯を渡してしまうなんて、少年のお人好し具合は深刻と言えるだろう。
「まだ眠れないのかにゃー?」
「“ねて”はいるぞ。それに結構メリットもあるんだぜ?」
突然の話題転換に少々驚きながらも、少年は苦笑しつつ答える。
便利ではあると思う。
寝坊することも無いし、いつでもどこでも体を休めることができる。
慣れないうちは本当に困ったが、慣れてしまえばどうという事はない。
そして夢を見なくて済むようになった。これが一番の利点。
それはきっと、壊れたから
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