過去ログ - 美琴「おかえりなさい、とうま」
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248:1だよ[sage saga]
2011/04/22(金) 19:59:59.92 ID:G+2AagiF0

「それに……」

「それに、なんだよ?」

この言葉を告げようとして、どれほどの時間が経ってしまったのか。
今まで、恥ずかしいからと素直になれずに罰ゲームなどを理由にして、彼との時間を過ごそうとしてきた。
その理由に“自分の気持ち”を含めてこなかった、
あるいは言葉にしようとしなかったことが原因で当麻を困惑させているのであれば、彼との距離が開いてしまったのであれば。
恥ずかしいとかそんなモノに負けるわけにはいかない。


「私が当麻と遊びたいの。それじゃ…ダメかな?」


しかしながら、こんな風にストレートな物言いをするのは慣れてないので、彼の顔を直視できるわけも無く。
負けるわけにはいかないとか言いながら、顔を俯かせてしまった。情けない。

「ダメじゃ………ない。こっちも変なこと言って悪かったよ。じゃあ行くか」

「うん」

漸く本当の意味で了解を得ることができて、安心してしまう。
きっと、これからもこんな感じで彼を誘えばいいと知ることができたから。
そんな風に彼との時間を重ねていけ……ば………?

「あれ?」

かすかな疑念がよぎった。
けれどもそれが何かはわからない。

「美琴? どうしたんだ?」

「………ううん。なんでもない」

振り切るようにして、怪訝な表情をしている当麻の右手を掴み、表通りに出る。
しばらく暗がりの中にいたので陽の光がちょっと眩しい。

「で。買い物って何処に行くんだ?」

「適当」

「………おい」

「特に考えてなかったんだからしょうがないじゃない」

「あー、じゃあ歩きながら考える、で良いか?」

「そうね」


私の疑念も当麻と過ごす時間への期待によって

陽の光が影を照らすように“この時は”消えていった―――




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