過去ログ - 死んじゃわない彼女と夢見がちな僕等
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120: ◆Fq2QReZI2Y[saga]
2011/04/09(土) 18:20:31.95 ID:zpAOhtJH0

「では、ご注文がお決まりになられましたらお呼びください」

一礼してそそくさと引っ込む僕。
にしても、何でまた。
それもよりによって会長さんなんかと……
まぁ友達が少ないと黒木は言っていたから、ほかにいなかったんだろうけど。

そこで僕は
毛嫌いしているはずの会長さんと、普通に会話していたことに気づく。
……どれだけ失礼なことを言われようと
少し経てば許してしまえるような、そんな性格だったか? 僕は。
しばらく自分を軽く見失いかけてしまったが、すぐに思い立つ。
いや、僕の問題じゃあない。多分……会長さんのせいだろう。

大人しそうな外見に吊りあわぬ釣り目、さらにそれを裏切る人懐っこい声。
第一印象は最悪であったが
……少なくとも、今は嫌悪感を抱いてはいない。
さらに、好意を持っていないと言えば、嘘にはなる。
い、いや、駄目だ。こんなこっ恥ずかしいこと考えてたら……。

「……たっくん顔赤い、けど、とてもいい顔してる」

「うわぁっ!?」

急に現れた愛華さんのおかげで、無理やり思考が飛ばされていった。

「……いまならたっくんでも、いい絵が描ける」

「……やめてくださいよ」

愛華さんはそういって、キッチンへと入っていった。
相変わらず、よくわからない人だ。
とは口にはださない、悪口を言っているつもりではないが
こんな言葉でも亮介さんに聞かれたら、僕は微塵に砕け散るであろうから。

「おい高峰、向こうのテーブル片付けてくれー」

出来上がった料理を運ぶ伊藤が、顎を使ってテーブルを指す。

「ああ、わかった」

どうやら、少しサボりすぎたようだ。

「よし……やるか! ……はぁ」

気合を入れてすぐに出す。
僕の体に、やる気を溜められる高等なタンクは
備わっていないようだった。

「はぁ」

もう一度、僕は嘆息してテーブルへ向かった。


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