過去ログ - 上条「なんだこのカード」 3rd season
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491:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/06/09(木) 21:36:40.10 ID:ngFbEDN1P
心残り

これを無しに死んでいく人間など、恐らく居ないのではないだろうか

死ぬ前に孫の顔を見たかった、とか、成長した子供を見たかった、とか、国をもっと良い方向に動かしたかった、とか

それこそ最期に自分の好物を食べたかったでもいい。買い溜めておいた年代物の酒に口を付けておくんだったでもいい

そういう"欲"が、本当に完全に無い状態というのは、それこそ思考が不可能になったまま死んでしまう場合を除いて、人間では有り得ない

それは、彼も同じだった

死とは違う形での昇天ではあるが、彼をそうさせた動機は、全て、たった一人の少女

どう考えても、自分は彼女に会う事は出来ない。彼女は既に死んでしまっているのだから

でも、会えなくとも、思い浮かんでしまう

そう思う事は、彼のまだ未成熟な精神では、必然的な事

イェス=キリストが天に召したのは、齢にして30の時。それに比べたら、どう考えても彼は幼い

一体誰がそれを責める事が出来るだろうか

そして一体誰が、最後の最後の部分で、まだそんな人間的なものが残っていることを責める事が出来るだろうか

それらはどうせ、時間と共に、"虹"の展開と共に消えていく。"虹"を展開する為に、自らの人間性すらも犠牲にしているのだから

ステイル「俺様はそれを責めたりはしない。その感情は自然だ」

垣根の前で、彼は呟く

しかし、その声は耳の機能のない垣根には届かない。本当に独り言のようなものだった

ボワッ、と小さな炎、光が、輪郭だけで中身のないガラス細工のような垣根の双眸に灯る



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