過去ログ - 【禁書SS】>>1が小説の練習がてら提供されたネタを片っ端か書いてみる
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44: ◆i7m2C81CSc[saga]
2011/03/09(水) 21:55:33.15 ID:IAft+n7o0

『神の如き者』の力を行使することに成功した、ということだ。
だが、神裂が抱いた感情は、歓喜ではなく戦慄だった。
赤く輝く瞳。彼女はこれを見たことがある。夏の日の海岸沿い、『御使堕し』、ミーシャ=クロイツェフ、『神の力』。
大天使『神の力』をその身に宿したサーシャ=クロイツェフの瞳は、赤く発光していた。それと同じ。

「すて……いる……?」

彼女にしては珍しい、非常に弱々しい声で言葉を紡ぐ神裂。
しかし少年は応じない。聞こえているようにも思えない。

「……すて、」

彼女が言い終えるより早く、ステイルが動いた。
右腕を、振るう。

ゴッ!という音ともに衝撃が走る。
彼の右腕とともに、『第三の腕』が振るわれた。赤黒い光の塊が神裂の顔面にぶち当たり、後ろの壁ごと宙に放り出す。
世界で二〇人といない聖人のひとり、神裂火織は、

神の如き力を手にした少年によって下された。



ステイル=マグヌスは生きていた。意識もある。ただ、それに肉体が応じないだけだ。
無理矢理『神の如き者』の力を手に入れようとした結果、『神の如き者』――つまりは大天使ミカエルそのものが彼の体に堕ちてきた。

よって、ステイル=マグヌスは自らの手が親友を吹き飛ばすのを見た。
彼は考える。
何故、と。
彼はひとりの少女を完璧に守るために「力」を欲した。それにより、彼女の安息が永遠に続くと信じて。
しかし、その力によっていまそれが脅かされている。
浮かぶのは、後悔と自責。

その日、ロンドンは半壊した。


やがて、彼は思考することをやめていた。
おそらく、『神の如き者』の暴走は魔術世界中に伝わることだろう。学園都市にも連絡が行くのかもしれない。
そして、誰かが「彼」を殺すだろう。ステイル=マグヌスという「器」ごと。
現存するルーン二四文字を完全解析し、新たに六文字を生み出した。
それはステイル=マグヌスが行なったことだ。だが、その知識はすでに周知のものとなっている。つまり、彼が死んだところで誰も困りはしない。
きっと、『あの子』も。
大天使は消えるが自分は生き残る、とか、自分が死んで『あの子』が悲しんでくれる、とか。
そういうことはない。それは自分が抱くただの幻想だと、そう割り切っていた。

『――h少年fh』

声が聞こえた。もしや件の大天使か、と虚ろな頭で考える。
もはや憎悪などといった感情は浮かばない。
彼はただ死を待つのみだ。

『――jd俺様は貴dg様の意思を基qhに動いてnlいるのみであるp』

そんなことは聞いていない。
随分とおしゃべりな天使もいたものだ。
――何?

『――gasよって、貴様iogにhpah俺様を責めることはhas出来ないgioh』

少年はそこでようやく目を開く。長いこと見ていなかった外の景色が脳内に流れ込む。

そこは彼の知る石造りの町並みとは違った。
コンクリートでできた高い建物がいくつも軒を連ねる。

学園都市。


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