過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage saga]
2011/03/27(日) 02:48:41.82 ID:JZglDAH2o

魔術師二人とは異なり、美琴には『神の力』の本当の恐ろしさは分からない。
しかし、その力の片鱗はすでに見ているのだ。
そして、上条当麻が最後に立ち向かった敵だと言う。
否応なしに気が引き締まる。

次の壁を突破した時に、美琴や10777号もようやく異変に気付いた。

氷だ。
大きな氷柱のようなものが壁を突き破り、あちらこちらから生えている。

普通、海水が凍りつく時は空気に触れている面、つまり海面から凍り始める。
液体は液体のままでは通常氷点以下にはならないため、より氷点の低い物質に熱を奪われなければ凍ることはできないからだ。
よって、水の中に自然には氷は発生しないということになる。

つまり、目の前の氷は、この先に明らかに氷点下の冷気を放つモノが存在しているということであり、
この状況下で考えられるモノは、大天使『神の力』のみ。

一同は否応なしに緊張を強いられる。
大天使と戦い消息を絶った上条当麻。
その残滓が近いとなれば、彼の痕跡もそこにあるということにほぼ間違いはない。
事実、彼の携帯電話の反応はこの先を示しているのだ。

美琴は胸元をぎゅっと抑えた。
この先には彼女の知りたくない事実が待っているのだろうということは容易に想像がつく。
彼女がそれを認めようが認めまいが関係なしに示される彼の結末は、彼女の心に何をもたらすのだろう。
今ならば、まだ引き返せる。逃げることができる。

だが、彼女は心の弱い部分が持ちかけてくる甘い誘惑を意志の力で断ち切る。
『せめてあの少年を、彼の帰りを待つ人間のもとへと帰す』
それだけを誓い、彼女はここへ来たのだ。
その過程で、少年一人助けられぬような弱い自分の心がどうなろうと知ったことではない。

『……行くわよ』

震える腕をしならせ、美琴は最後の壁を破った。


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