過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage saga]
2011/04/13(水) 01:38:12.59 ID:9KzOTW+Oo
11月11日。
少年は、自身に与えられたベッドの上で目を覚ました。
長時間寝ていたにも関わらず霞のかかる頭をすっきりさせるために、彼はベッドの脇に置いてあった松葉杖に頼りながら洗面台へと向かった。
左足にはめられたギプス、あちこちに巻かれた包帯。
杖に頼らなければ歩けもしないほどの怪我を、彼は負っているのだ。
記憶はなくとも、『起きたらまず顔を洗う』という習慣は体に染みついているらしい。
蛇口を捻ると程よい温水が出る。チューブの腹を押せば中から洗顔料が出てくる。ひげを剃ることだって簡単にできる。
実際におこなった事は記憶にないにも関わらずスムーズに動く体に、何とも言えない違和感を覚えた。
洗顔料を洗い流し、タオルで水気を切ると、彼は鏡を見た。
全く見覚えのない少年が、やや怯えたようにこちらを見つめていた。
自分の名前は、『上条当麻』というらしい。
学園都市の高校1年生だそうで、父母はそれぞれ『上条刀夜』『上条詩菜』というそうだ。
伝聞調なのは、本当にそうである、という確証が持てないからだ。
見覚えのない自分の顔。
聞き覚えのない自分の名前。
他者は自分を知っているのに、自分は何も知らない。
彼の記憶は昨日から始まる。
それまでのことは何もわからない。
否、本当に昨日以前、自分と言う個体が存在していたのかどうかすら確信が持てない。
まるで何もない所から突如自我を持って発生したかのような、奇妙な感覚。
もしかしたら、世界は昨日、彼が目覚めると同時に開闢を迎えたのかもしれない。
そんなことまで、ついつい考えてしまう。
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