過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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(千葉県)
[sage saga]
2011/04/13(水) 02:07:19.68 ID:9KzOTW+Oo
そんなステイルの右手を、上条の右腕が掴む。
ステイルは大柄ではあるが、その実さして体を鍛えているというわけでもない。
体格の割に華奢なステイルの腕骨は容易に悲鳴を上げる。
それでも、彼は上条の胸元を掴む手を離そうとはせず、両者は互いににらみ合いを続ける。
射殺すようなステイルの視線に対して、噛み殺すような上条の視線。
「…………だったら」
「なんだ」
「……………………だったら、俺はどうすれば良かったんだ。
俺は昨日"初めて"目覚めた。人の事どころか、自分のことすら分からない!
どれだけ説明を受けようが、"前の俺"がやったことなんか微塵も実感がわかない!
そんな俺に、何ができたって言うんだ!」
今の上条当麻と"前"の上条当麻は、同じ状況に置かれているわけではない。
"以前"のケースでは目を覚まし、他者と接するまでにはしばらく時間があった。
それまでに、自分の置かれた状況や経緯を知り、整理し、心構えを定めることが出来た。
翻って、"今"のケースはどうか。
上条が目を覚ました時周囲は知人たちに囲まれていて、その中心で記憶喪失をさらけ出した。
何のフォローも受けることなく、彼は他者と接することとなった。
自分のことすら何も分からないのに見知らぬ他人の中で突如覚醒して、取り乱さぬ人間などいやしない。
周囲の人間を悲しませているのは誰でもない自分だ。
それを何よりも理解しているからこそ、上条の言葉にも熱がこもる。
かつて一度も露呈させたことのない、哀しい熱が。
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