過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
↓
1-
覧
板
20
350
:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage saga]
2011/04/17(日) 02:44:27.54 ID:6dTTluKVo
「当麻さんが大怪我をする回数は減ったわけではありません。
だけどもそれは、以前のように単にあの子が不運だから、というわけではないんです。
聞くところによると、不良に絡まれていた見ず知らずの子を助けて代わりに殴られた、というパターンが多かったそうです」
「それを聞いて、私は嬉しかった。
息子が傷つけられているのに喜ぶ、という時点で親失格かもしれませんがね。
だけど、それでもあの子が他人のことを思いやれるように育ってくれたってことが嬉しかったんです。
なんせ、幼いころの当麻にとって、『他人』とは『あの子を傷つける存在』と同義でしたから」
「そうですね、学園都市に預けて、本当に良かったと思いました」
「だけど、あの子が誰かを助けて代わりに傷ついた時、私は誇らしいと同時に怖くなったんです。
今回は大したこともなかったけれども、このままではいつか本当に死んでしまうような怪我を負ってしまうのではないかと。
あの子の不運体質そのものは、何も解決していないのではないかと」
その言葉は、神裂の心にも突き刺さる。
上条当麻は右腕一本を武器に、いつだって傷つきながら戦っている。
防御術式の援護は受けられない。
治療術式だって、組むそばから彼の右腕が破壊する。
『必要悪の教会』のメンバーの誰よりも、彼は過酷な条件で戦ってきた。
全ての異能を駆逐する『幻想殺し』によるアドバンテージなど微々たるもの。
その証拠に、彼と魔術サイドが交差したほぼ全ての事件で、彼は瀕死状態にまで追い込まれている。
この度の第三次世界大戦など、一時は生存の絶望視さえされたではないか。
「結局は、あの子の不運のために、私たちは何もしてやれることが出来ないのか。
そんな無気力感の中で、私たちは生きてきたんです。
出張のたびにあちこちで厄除けや開運のお守りを買い漁ったりもしましたが、気休めにもなりゃしない」
神裂は上条家にずらりと並べられた、地域も宗教も祀られた神すらバラバラのお守りたちを思い出した。
それが裏目に出て『御使堕し』を引き起こしてしまったけれども、あれは全て上条当麻の幸せを祈って収集されたもの。
「……だけど、私たちは間違っていたんだ。
あの子が傷つくとか、何もしてやれないとか、私たちがそう考えることには何の意味もなかった。
あの子は、そんな私たちの心配なんか最初から飛び越えたところにいたんだ」
<<前のレス[*]
|
次のレス[#]>>
1002Res/817.81 KB
↑[8]
前[4]
次[6]
板[3]
1-[1]
l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。
過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」 -SS速報VIP http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1299609986/
VIPサービス増築中!
携帯うpろだ
|
隙間うpろだ
Powered By
VIPservice