過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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740:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2011/05/28(土) 02:28:31.83 ID:2nJkUX9vo

とたんにテーブルの雰囲気が暗くなる。

『幻想御手』。
その言葉に凍りついた少女が一人。
かつてそれを使用した、佐天涙子。

脳波の同調を使用者に強制し、昏睡状態に至らしめた『幻想御手』。
自分の能力を強くしたいという欲望に付け込んだこのアイテムは数万人規模の被害者を出した。
今更、そんなものを研究するなんて。
いっせいに眉をひそめた四人に、木山は「しまった」と言いたげな顔をする。

「今の言い方は語弊があったな……。『幻想御手』の仕組みと言っても、実体は全く異なるものだ。
 大丈夫、他人の脳波を強制しようというものじゃないよ」

「……一体、どんな仕組みなんですか」

「うーむ、研究段階で守秘義務もある事だしあまり突っ込んだことは話したくないのだが、納得してくれそうにないしな……。ここだけの話と言うことで頼む。
 ……君たちはあの事件の収束後、『幻想御手』使用者の一部に能力強度の上昇が見られたという事象を知っているかな?」

「ワクチンを使って、『幻想御手』を解除した後もですか?」

「そう。最初はいまだ『幻想御手』が解除できていないのかと思ったらしいのだが、脳波を計測しても正常。数日経っても倒れない。
 しばらく医者や能力開発担当者も首を捻っていたらしいんだが、しばらくして学生たちの言葉からヒントが得られてな。
 『一度高レベルの能力を経験したからか、高度な演算式が以前よりスムーズに組み立てられるようになった』と。
 今作っている教材は、そこに着目したものなんだ」

「でも、他者との脳波リンクは行わないのよね?」

「ああ、演算能力に関してはスパコンで補う。機材でどうしても場所を食ってしまうが、安全性を考えれば仕方あるまい。
 それよりも問題は『自分だけの現実』の補完による能力強度の強化なんだが、こっちが大変でな。
 『学習装置』で他者の『自分だけの現実』を植え付けることはできるが、そうすると問題が出てくる。
 植え付けられた『自分だけの現実』と本来持っていた『自分だけの現実』が入り混じって、大変なことが起きてしまうんだ」



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