過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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860:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2011/06/12(日) 01:16:10.92 ID:Sj9M+n8No

「へぇっ!?」

思わず上ずった変な声が出る。
聞かれた。絶対に聞かれた。
美琴の放った妙ちきりんボイスは電波を介して上条の携帯のスピーカーへと確かに伝播したことだろう。

だって、仕方がないじゃない!
意中の少年の口から「好きだぞ」なんてワードが聞けるなんて、恋する乙女にとっては何たる僥倖。
妙な声のひとつも出ようと言うもの。

美琴の不審な様子を感じ取ったのか、上条が恐る恐ると言った様子で口を開く。

『……あー、御坂の弾くバイオリンが好きだぞって意味な?』

「…………そうよね、やっぱりそういう意味よね』

『?? 何か言ったか?』

「……なんでもない」

上条の性格はここ数カ月で嫌と言うほど分かっている。
それでも隠しきれない落胆の色は、声にも如実に表れてしまう。

『とにかくだな、御坂はせっかくバイオリンが上手なんだから、自信を持ってやっていいと思うぞ。
 バイオリンの曲を聞いても題名が思い浮かばないような俺に言われても説得力がないかもしれないけどさ』

「……そんなことないわよ。身近な人に言われるのって、凄く励みになるもの」

言葉を返しながら、美琴は自分の口から出る言葉に自身で驚いていた。
以前だったら、「あんたに言われるまでもなく、美琴センセーはいつでも自信満々よ!」とでも返していたかもしれない。
少しは素直になれてきたのだろうか。

そりゃあ良かった、と電話口の向こうで上条が笑う。
それにつられて、美琴の口元もほころんだ。



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