10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/12(土) 08:58:55.74 ID:IW7IgJuDO
「じゃあ私、帰るな」
「あ…」
そんな私の内にあるどろどろした感情を読まれたのか、律は席を立つ。私は引き止める理由も思い付かず、せっせと帰り支度をする律をただじっと見つめる事しか出来ないでいた。
考えたくないのに。
そんな取り繕いが綺麗ごとみたいで、私はさらに自分が嫌になる。
唯達は唯達で頑張っているだけじゃないか…。それなのに。
「じゃあな澪。…あんまり思い詰めたりするなよ」
「…うん」
律の気遣いに私はそれだけ答え、それから律の出ていく後ろ姿をベッドの上から見送った。それから窓の外をぼんやりと眺めていると、しばらくして律が病院の敷地外へ出ていく所が見えた。すれ違うようにその律へ近づいていく中年の女性。小さい律はその女性と軽く挨拶をしたが、早く部室へ帰りたいのか律の方はすぐに遠ざかっていく。
ママだ。
…いや、その人は私のお母さんだった。
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