過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」2
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107: ◆d85emWeMgI[saga]
2011/03/20(日) 18:42:23.51 ID:2XuDSNck0


今更それが番外個体と一緒に吐いていた嘘でした、なんて言えるはずがない。
そもそも、最初は些細な嘘だった。
彼氏とか出来たのかァ?という何気ない彼の質問にカチンと来た打ち止めが思わず「うん、とってもラブラブ」と言ってしまったのが発端であった。
一方通行がどのような反応を示すのかが知りたくて吐いた嘘だった。嫉妬してくれるだろうか、焦ってくれるだろうか、そんな期待を心の何処かで抱いた上での嘘だ。
当時、一方通行には一応交際していた女性がいたが、傍目にも彼が『彼女』とやらを疎かにしていることは中学生の打ち止めの目にも明らかであり、危機意識など存在すらしなかった。
それによって秘めていた本当の自分の気持ちに気付いた一方通行がなりふり構わず愛の言葉を囁いてくれるんじゃないだろうか、等という妄想にも耽ったことが無いと言えば嘘になる。
その嘘を、すっかり打ち止めは忘れ去っていた。おそらく番外個体も同様だろう。もっとも正確には十全嘘というわけではない。
打ち止めも番外個体も告白は毎月一回や二回どころではなくされている。それを次から次へと切り捨てているのが真実であり、受け入れたというところが嘘である。


しかし、一方通行の反応は「じゃあ今度連れて来い。俺が見極めてやる」という親御さん発言であった。


その反応は彼女達の女の誇りに傷を付けた。
モテる事を自慢に思ったことは無いが、それでも多くの男達を虜にしているという事実は、彼女達に、己に対する自信となった。
特別高慢になることもないが、自己陶酔の裏返しのような厭味たらしい謙遜でもない。それは当然の、正当な矜持であった。
その矜持が彼女達の芯から滲み出る美しさに磨きをかけることに繋がり、相乗効果となっていた。


ただ、彼女達の自分達に対する少なくない女としての自信と誇りを木っ端微塵に打ち砕いたのが、その美しさ、魅力を一番知ら示したい男であったのは皮肉な話である。



「ラブラブだって言ってなかったか?そォだ、彼氏っていやァ番外個体のヤツはどォなってやがンだ?相変わらずとっかえひっかえなのか?」

「え、ええっと……そういうことはミサカの口からはちょっと………」


一方通行は苛立たしげに指でハンドルを叩く。そういえばそうだった、と打ち止めは思い出す。番外個体は淫乱設定だったのだ。
嫉妬も焦りも見せてくれず、その事に苛立った打ち止めがラブラブでキスも何もかも済ませたと嘘の上塗りを重ねたのと同様に、番外個体も嘘に嘘をまるでマトリョーシカのように重ねている。
彼女の場合は、打ち止めよりも酷い。素直になれない上に、口にする言葉が罵声であれ冗談であれ、品が無い。その上、意地っ張り具合は打ち止めを凌駕する。
打ち止めの重ねた類の嘘の上に、更に大げさに、過激に脚色して、男とっかえひっかえの乱交パーティーにまで嘘を膨らましてしまった。
雪だるま式に付いた嘘に引っ込みも付かず、かくして処女の癖に男漁りの激しい不良娘という設定が出来上がってしまった。
打ち止めとしては番外個体の気持ちは痛いくらいに理解できる。




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