105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage saga]
2011/03/22(火) 05:36:27.08 ID:A0O8EXjso
タックマン「最上階には、黄金がいる……」
タックマンはエレベーターから再びワイヤーで上昇する。
最上階の一つ前でエレベーターの扉から出る。最上階に続くエレベーターはない。最上階は社長室。専用のエレベーターを使わなければならない。
当然社長室行きのエレベーターの位置もパスも知っている。すぐに乗り込み、最上階に向かった。
タックマン「……」
黄金は強い。以前は、なすすべも無く敗北している。
だが、タックマンの手の中には、対抗策が握られていた。
――「君が真に必要となったとき、これを使うと良い」
ナイトストーカーに居たとき、ある変異種研究者に渡されたもの『人工変異薬』。
これを使うと因子が活性化し、変異種になることができる。
あのとき手に入れた記憶媒体と個人的な分析によると本物で間違いないだろう。
これを使えば、黄金と互角に戦うことも、もしかしたら、勝つこともできるかもしれない。
タックマン「……私は」
そして、最上階に到着した。
ゆっくりと、扉は開く。
黄金「……来たか」
タックマン「……」
黄金「お前ならここまで来るってわかってたぜ。ああ、あいつらごときが止められるはずねぇもんな」
タックマン「人質を返せ」
黄金「この先にいるぜ。俺をぶっ殺せば進める。簡単じゃねえか。そうやってここまで来たんだろ? そうやって生きてきたんだろ? ならここでもルールは同じだ。強いやつが目的を遂行できる」
タックマン「本当に、そんな世界を望んでいるのか」
黄金「ああそうだ、その通り! てめぇらくだらねぇ人間達の世界が俺たち変異種にとってどれだけ生きにくいかわかるか! てめぇに!」
黄金は袖を捲る。そこには、刻印があった。斉藤と同じ、刻印。
黄金「人間共は変異種をとっつかまえて強制収容所に入れた。何も罪を犯してねえ俺たちを『怖いから』ってくだらねえ理由で迫害し、暴力を振るった。挙句の果てには、『お前達を治療する装置が完成した』だ。俺たちは変異種を強制的に人間に戻す実験のモルモットにされた。病気というレッテルと安い同情を投げつけ、善意とやらを満足させるためだけにだ!!」
タックマン「……」
黄金「これがてめぇの守ろうとしている人間の真の姿だ!! モラルだとか正義なんてもんは、自分達を守るために使ってるにすぎねぇ。その本質は、誰もが欲望にまみれている。バケモンなのさ。てめぇも同じだ。そろそろ、気付いてんじゃねえのか? てめぇこそが、誰よりも狂ったバケモンだってな」
タックマン「……」
黄金「そうさ、バケモンだ。変異種も、人間共も、てめぇみたいなバケモンは求めてねぇよ。この時代も、この世界も、この街もてめぇを受け入れることはねぇ。いつかてめぇが全ての犯罪者を駆逐したとしたら――人間共はてめぇを追い回すだろう。利用価値がある間は泳がせるだろうが、結局はいらなくなれば処分する」
タックマン「それでもかまわない」
黄金「泣かせるねぇ、ヒーロー。そうまでして守りたいものって、一体なんだ?」
タックマン「守りたいものは、数え切れないほどある。人は生きているだけでたくさんの人から幸せを貰う。私は私に幸せをくれた全ての人を守りたい」
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