過去ログ - 紬「タックマン?」
1- 20
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2011/03/17(木) 04:24:15.14 ID:LjwDMhJO0
唯「それじゃあ、最後の曲だよ!」

気付いたときには、最後だった。ライブイベントは3時間。唯を懐かしむうちに、それほどの時間が流れていたというのか。

唯「……知ってる人もいるかもしれないけど、この桜が丘は、私の故郷なんだ」

唯の雰囲気が変わった。なにか思いつめているような、悲しんでいるような。

唯「私には大切な仲間がいて、毎日が輝いてた。みんなは私を輝いてるって言ってくれる。でも、やっぱりまだ、なんか寂しいかな」

紬「唯ちゃん……?」

唯「みんなといた日々の輝きは、戻ってこないのかな……。大人になっちゃうって、そういうことなのかな」

観客達は言葉を失っていた。唯はいつも明るい。いつも前向きで、見るもの全てに元気を与えていた。
こんな唯の姿を見るのは、初めてだった。

唯「みんなごめんね。この街に帰ってくると、たくさん思い出がよみがえってきちゃって。私、歌うことしかできない。歌うことで、今の気持ちもきっと伝えられると思う」

唯「最後の曲は私の大切な仲間が……親友が、作ってくれた曲です。今はもう会えない、どこにいるのかわからない、でも、今でも大切に思ってる人の曲です。曲の使用許可はとってません。だから、勝手に使ってるって知ったら、どうか私をしかってください。それでもいいから……会いたいよ……ムギちゃん……」

美しい声はかすれて、最後のほうはもう何をいっているのかすら聞き取れない。

唯「うん。私は大丈夫。だから精一杯歌うよ。『ふわふわ時間』!!」

紬(唯ちゃんのこと、傷つけてたのね、私は)

やっと気付くことができた。自分だけが世界一不幸になった気がして、皆の前を離れた。
だけど、違う。そうやって不幸ぶって他者を省みなくなることが、さらに不幸を伝染させる。誰かを悲しませる。

紬(だけど、今更唯ちゃんの前に現れて、今まで奪ったものは返すことはできない。私にはその資格は無いし、その力もないわ)

走り出してしまったのだ。打ち出した銃弾はもうとまらない。自分はもうとまれない。
どうしようもない闇が降り立つこの街で、犯罪との戦いを始めてしまった。そんな自分が誰かとかかわるということは、その誰かを危険に晒すということだ。
今更昔には戻れない。戻ってはいけない。自分もまた、大人になってしまったのだから。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
236Res/350.10 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice