59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage saga]
2011/03/19(土) 06:17:40.07 ID:whhP9ezKo
日本 琴吹邸
紬「斉藤、今日は私用で外出するわね」
斉藤「それは結構なことで」
なんとなく斉藤の機嫌がよさそうだ。きっと、今日けいおん部のみんなに会いに行くことを察知したのだろう。
斉藤はタックマンではなく琴吹紬としての幸せな人生を歩んで欲しいと願っている。
その気持ちは嬉しいが、今の紬には重荷にしかならなかった。
自分は、今日過去と決別するために行くのだ。復縁したいわけではない。
紬「なにか街に起こっていない?」
斉藤「ええ、今日は今のところ、平和そのものです」
紬「そう」
紬はそう言って扉に向かう。
斉藤「お待ちください、お嬢様」
紬「何かしら」
斉藤「その格好で外出なさるのですか?」
紬の格好は、一言で言うと質素だった。シンプルなセーターに動きやすさを重視したジーンズ。
昔の紬では考えられない格好をしている。
斉藤「お嬢様にふさわしいお召し物をご用意いたします。もう少しお待ちを」
紬「べつに、かまわないのだけど……」
昔は、いっぱしの女の子として可愛らしい服装に憧れたりもした。だが、今はそんな気分にはなれない。
どんな服を着ても、自分自身の本質は変わりはしないことを知った。惨めな姿こそが自分の本当の姿なのだと。
それ以上に――
紬は待っている間にテレビをつける。ニュースでも見よう。
紬は斉藤含む部下達に情報収集をさせているが、紬――タックマン一人で桜が丘の全ての犯罪をカバーできるわけではない。
犯罪だけではない、火災などの災害から人々を救出することもタックマンの使命だ。
世の中で何が起こったかをできるだけ自分でも把握しなければならない。
アナウンサー『緊急速報です。××銀行桜が丘支店に強盗が――』
紬「……!」
斉藤「ご用意できましたので、どうぞこちらに……お嬢様?」
斉藤が戻ってきたとき、すでに紬の姿は消えていた。
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