過去ログ - 紬「タックマン?」
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92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage saga]
2011/03/22(火) 05:28:51.75 ID:A0O8EXjso
和「変異種というものは、言ってしまえば人間が別の生物に進化するその途中の段階よ。人間という種は最初から変異種の『因子』を持っていて、その因子がこの時代になって一気に人間の変化を促進したというわけ。だから変異種というものは人間以外の何者ではなく、むしろ時代が生み出した、人間のもう一つの姿ということもできる」

紬「もう一つの、姿……?」

和「ええ、この時代――人は社会に埋没し、意思を失った時代。数多くの社会問題に突き当たり、無限の発展を夢見ていた人間達もついに気付いたのよ、人間の限界にね。宇宙を知り、人が万能ではないことを知り。そして、自らの心にすら押しつぶされる、そんな弱い存在であることを自覚した。だから変わろうとした。もっと別の、もっと強い存在に。自らを取り巻く世界を変えられる力をもった存在に」

紬「それが、変異種……。弱さを押し隠すもう一人の自分」

和「そう。変異種は人間なの。生物学的に言うなら、変異種は人間と二世代以上の交配が可能よ。ここから言っても、変異種は人間とそう大きく変わっているとは言いがたいわね。だから、私は社会的なものだと考えている。時代が生み出した、社会的な変化だと。クラスは因子がどれだけ働いているかの目安であって、クラス1もクラス5も本質的には同じ」

紬「じゃあ、エヴォルドクラスというのは、まさか」

和「きっとムギならもう想像はついたでしょうね。エヴォルドクラスはその終着点よ。そう、人間とは全く別の生物に進化する可能性を持った変異種のこと。未だ、現われてはいないけれど、その存在は変異種達も研究家たちも予測していたわ。この時代がいずれエヴォルドクラスを生み出すことになるだろう、とね。そして、ムギ……現われたのね」

紬「……奴らは、律っちゃんがエヴォルドクラスだって。この世界を変える鍵になるって」

和「エヴォルドクラスがどういう力を持っているのかは誰も知らないし、予測も出来ない。けど、間違いないのはそれが人間より明らかに『優秀な種』であろうことは疑いようが無いという点よ。それこそ、人間が想定していた神――全知全能の存在といえるほどにね」

紬「神……そんなものが現われたら」

和「人間の世界は終わり。自らがこの星で最も優れていると思い込むことで傲慢に生き続ける私たちは、その後ろ盾もなにもかも失う。それが――神が目の前に現われることが人間にとって幸せなことか、不幸なことかは、私にはまだわからないけれど」

紬「どちらにせよ、奴らが律ちゃんの力を利用して世界を破壊するつもりなのは間違いないわ」

和「ええ、何らかの方法で律の因子を目覚めさせ、究極の存在に進化させるつもりなんでしょうね。残念ながら、私にはその方法までは予測できないけれど」

紬「だいたい、理解できたわ。敵の目標が……。和ちゃん、ありがとう」

和「別にかまわないわ。友達だもの」

紬「……唯ちゃんを裏切った今でも、私を友達だと思ってくれるの?」

和「唯は案外ずぶといところがあってね、きっと裏切られたなんて考えたこともないでしょうね」

紬「和ちゃん……」

和「でも、私からはこれしか言えないわ。ムギ、あなたにもたくさんの事情があるだろうけど、唯に一度でいい、会ってあげて欲しい。きっとあの子、喜ぶわ」

紬「……」

和「じゃあね、私、唯に会いに行くから」

紬「ええ、危険だから、送らせるわ」

和「悪いわね、じゃあ、元気で」

紬「あ、あの……それと、私がやっていることは」

和「大丈夫。人は誰にでも別の姿がある。あなたにも、唯にも。いちいち詮索はしないわ」

紬「そう……。ありがとう」


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