過去ログ - 火憐「兄ちゃん、あんま無茶ばっかすんなよな」
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◆/op1LdelRE
[saga]
2011/03/29(火) 23:12:01.92 ID:24bZVFNg0
014.
そこから彼が語った内容は、物語としてみればありがちで陳腐に思えるような、けれど現実としてみればこの上ない悪夢と断じずにはおれないような、そんな話だった。
いっそ悲痛な表情で語ってくれていたのならば、否定の言葉を差し挟む余地はあったかもしれないけれど。
あらゆる感情が全て通り過ぎ去った後のような、あるいは跡のような、そんな平坦な表情と声で淡々と語られては、何の言葉も口にすることはできなかった。
以下略
184
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2011/03/29(火) 23:16:46.13 ID:24bZVFNg0
「その時も僕は怪異に起因する事件に首を突っ込んでいた。そしてまた、いつものように窮地に陥った。だけどその時は、いつもと違ってそこに戦場ヶ原達――皆がいた。それも僕が巻き込んでしまったせいで」
心臓を鷲掴みにされたような感覚。
頭の中に氷柱を突っ込まれたような錯覚。
震えるような、凍えるような、そんな絶望がその先にあることを決して疑えない事実が、今は何よりも辛かった。
以下略
185
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2011/03/29(火) 23:21:59.48 ID:24bZVFNg0
抑揚もない淡々としたその声は、いっそ荒げる以上に悲痛を感じさせた。
ただもう、そんな感情をすら失くしてしまっただけなのだろう事が、容易に窺い知れてしまうのだから。
痛い程に、苦しい程に、悲しい程に、伝わってくる。
皆を――もし僕が皆を、それも自分のせいで失うことになったりすれば。
以下略
186
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2011/03/29(火) 23:27:24.06 ID:24bZVFNg0
「僕のせいで、あいつらは全てを失った――だから僕は決めたんだ。この命の続く限り、あいつらを救い続けるって」
世界は無数に存在し、ほんの些細な事で、また新しい世界が生まれてゆく――そんな話を思い出す。
だからこいつは、その数多の世界を渡り歩いて、その全ての世界で、同じことが起きないようにしようと考えたのだろう。
阿良々木暦のせいで――阿良々木暦が窮地に陥るせいで、大切な存在を失うことになるという可能性を、一つでも多く潰す為に。
以下略
187
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2011/03/29(火) 23:34:32.65 ID:24bZVFNg0
015.
「これからどうするんだ?」
「決まってる。また別の世界で同じことを繰り返すだけだよ」
以下略
188
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2011/03/29(火) 23:39:27.53 ID:24bZVFNg0
確かにそうかもしれない。
というよりも、きっともうこいつは、本来の元いた世界に戻ることはできないのだと思う。
そもそも戻りたいとも思っていないだろう。
だって元いた世界には、何も、誰も、待っていてはくれないのだから。
以下略
189
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2011/03/29(火) 23:45:56.19 ID:24bZVFNg0
と、それまで黙っていた忍が、彼に寄り添うように立つ別世界の自分に向けて問いかけた。
不遜な態度は変わらないが、その表情は幾分穏やかで。
答えは聞かなくても分かっているけれど、形式的に聞くだけ聞いておいた、という感じだ。
「言うまでもなかろう」
以下略
190
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2011/03/29(火) 23:51:40.45 ID:24bZVFNg0
「しかし、どうやって次の世界に行くんじゃ? 相当のエネルギーが必要になるはずじゃが」
「知れたことよ。力ある、悪意ある怪異は、それこそ無数におるからのう」
それ以上何も言わなかったけれど。
きっとそれは、未来で僕や皆を窮地に陥れることになるかもしれない、そんな存在を指して言ったのだろう。
以下略
191
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2011/03/29(火) 23:54:20.33 ID:24bZVFNg0
016.
その後、忍は黙って影にその身を沈めて。僕はそれを見届けてから、改めて月火の前に戻った。
傍に腰を下ろして、その顔をよく見れば、本当にただ眠っているだけのようだ。
その事実を確認して、ようやく一息つく。
以下略
192
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2011/03/29(火) 23:58:32.90 ID:24bZVFNg0
もし今回の犯人が違っていれば。
もしそれが別世界から来た僕達でなかったならば。
あるいはそんな世界もあるのかも、あったのかもしれないと。
そう思うだけで怖気が走るけれど。
ここはそんな世界とは違うし、何より僕が違わなければならない。
以下略
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