過去ログ - 火憐「兄ちゃん、あんま無茶ばっかすんなよな」
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193: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:02:07.63 ID:QNTrEY900
「……」
「……おい」

 しばらく後、痺れを切らしたのは、僕じゃなくて月火の方だった。
気付けば、薄らと開けた目でこちらの様子を窺っている。
以下略



194: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:06:14.72 ID:QNTrEY900
 一転、こちらを睨むようにしつつの難しい表情。
目を開けたはいいけれど、やはり身を起こすつもりはないらしい。
何が不満なのかってまあ、目を覚ましたらこんな廃墟で転がされてましたとあれば、それは不満だらけだろうけどさ。
だからもう、さっさと起きてとっとと帰ってぱっぱとベッドに入ってしまえば、それで良かろうに。

以下略



195: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:10:16.37 ID:QNTrEY900
「もー、ごちゃごちゃうるさいなあ。助けにきたんだったら、ちゃんとそのシーンではそれらしく振舞ってよね。刺すよ?」
「だから何で助けられる側がそんなにアグレッシブなんだよ」

 そら見たことかと言おうか、相も変わらず攻撃的な言葉。
全く、どんなドラマでどんなヒロインなのか。そんなものを月9枠で放送されては堪ったものではない。
以下略



196: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:14:11.00 ID:QNTrEY900
「お兄ちゃんが何考えてんのか分かんないけどさ、ちゃんと私に、助かったんだって、そう実感させてよ」
「そうかい、じゃあ……」

 拗ねたような声に、甘えたような表情に、決して屈したわけではないけれど。
展開的にそうしないと場面が切り替わらないんだろうと解釈して、寝ている体を抱き起こすようにして、望み通りハグしてやった。
以下略



197: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:17:12.78 ID:QNTrEY900
 この温もりを――あの僕は、失った。
この優しさを――あの僕は、失った。
永遠に、延々と、失って、失った。
その心情を、僕には正確に察する事はできない。
できない以上に、できてはならないのだ。
以下略



198: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:18:14.97 ID:QNTrEY900
「お兄ちゃん、あんまり無茶ばっかりしないでよね」



199: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:20:06.60 ID:QNTrEY900
 今まで聞いたことが無いくらいに優しい声。
こんな状況下でも、自分こそが窮地に陥っていたにも関わらず、それでも月火は、僕の身を案じていたのだ。
そしてきっとそれは、その言葉通り、月火だけのものではないのだろう。

 改めて身が、心が、締めつけられるような気分だった。
以下略



200: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:25:50.13 ID:QNTrEY900
 017.

 後日談というか、今回のオチ。
翌日、いつものように二人の妹、火憐と月火に叩き起こされる……ということには、残念ながらならなかった。
何が問題かといって、またしても僕の体調が問題だったのだが。
以下略



201: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:29:25.62 ID:QNTrEY900
 まあ要するに、妹達が寝てる僕の横で番をしてやがるのだ。
今日が休みであることが幸いし、あるいは災いした形である。
一体何なんだ、このマッチポンプは。
そして今、僕の横に堂々と陣取っているのは火憐。
どうやら時間を区切って、交代で見張るつもりらしい。
以下略



202: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:32:37.59 ID:QNTrEY900
「で、兄ちゃん、風邪の具合はどうなんだ?」
「んー、やっぱまだ大分しんどい。熱が高いのが自分でよく分かるよ」
「あー、確かに熱高いな」

 ぎしっとベッドを軋ませて、身を乗り出した火憐が、僕の額に手をやってくる。
以下略



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