過去ログ - 火憐「兄ちゃん、あんま無茶ばっかすんなよな」
1- 20
196: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:14:11.00 ID:QNTrEY900
「お兄ちゃんが何考えてんのか分かんないけどさ、ちゃんと私に、助かったんだって、そう実感させてよ」
「そうかい、じゃあ……」

 拗ねたような声に、甘えたような表情に、決して屈したわけではないけれど。
展開的にそうしないと場面が切り替わらないんだろうと解釈して、寝ている体を抱き起こすようにして、望み通りハグしてやった。
以下略



197: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:17:12.78 ID:QNTrEY900
 この温もりを――あの僕は、失った。
この優しさを――あの僕は、失った。
永遠に、延々と、失って、失った。
その心情を、僕には正確に察する事はできない。
できない以上に、できてはならないのだ。
以下略



198: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:18:14.97 ID:QNTrEY900
「お兄ちゃん、あんまり無茶ばっかりしないでよね」



199: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:20:06.60 ID:QNTrEY900
 今まで聞いたことが無いくらいに優しい声。
こんな状況下でも、自分こそが窮地に陥っていたにも関わらず、それでも月火は、僕の身を案じていたのだ。
そしてきっとそれは、その言葉通り、月火だけのものではないのだろう。

 改めて身が、心が、締めつけられるような気分だった。
以下略



200: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:25:50.13 ID:QNTrEY900
 017.

 後日談というか、今回のオチ。
翌日、いつものように二人の妹、火憐と月火に叩き起こされる……ということには、残念ながらならなかった。
何が問題かといって、またしても僕の体調が問題だったのだが。
以下略



201: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:29:25.62 ID:QNTrEY900
 まあ要するに、妹達が寝てる僕の横で番をしてやがるのだ。
今日が休みであることが幸いし、あるいは災いした形である。
一体何なんだ、このマッチポンプは。
そして今、僕の横に堂々と陣取っているのは火憐。
どうやら時間を区切って、交代で見張るつもりらしい。
以下略



202: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:32:37.59 ID:QNTrEY900
「で、兄ちゃん、風邪の具合はどうなんだ?」
「んー、やっぱまだ大分しんどい。熱が高いのが自分でよく分かるよ」
「あー、確かに熱高いな」

 ぎしっとベッドを軋ませて、身を乗り出した火憐が、僕の額に手をやってくる。
以下略



203: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:35:33.98 ID:QNTrEY900
 蜂の騒ぎの時のことを、きっと火憐は言っているのだろう。
今の状況は、確かにあの時の、全くもって逆の立場になってしまっているわけだから、それを思い出すのも当然かもしれない。

「あの時は、あたしが迷惑かけたんだし」
「気にするな、忘れずに覚えておいてくれれば、それでいいんだ」
以下略



204: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:39:03.44 ID:QNTrEY900
 凛とした顔つきで。爛々と輝く目つきで。
ベッドに臥している僕を見下ろす火憐。
いつも以上の高高度からのそれは、やはりいつも以上に恐怖を掻き立てる。

「おいおい誤解すんなって。別にあたしは、怒ってるわけでも恨んでるわけでもないんだぞ」
以下略



205: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:42:18.84 ID:QNTrEY900
 両手で僕の顔をしっかりと固定した火憐は。
いい笑顔で目を閉じた僕の妹は。
あろうことか。
全力全開、一切の迷いも躊躇もなく。
自身の唇を、僕のそれに勢いよくくっつけた。
以下略



206: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/30(水) 00:48:35.75 ID:QNTrEY900
 そんな馬鹿な思考で目を白黒させていたけれど。
その最中も、火憐の舌が、僕の口内を縦横無尽に暴れ回る。
うぞうぞで。
うにょうにょで。
ぐちゃぐちゃで。
以下略



241Res/178.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice