過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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(福岡県)
[saga]
2011/04/07(木) 23:12:49.09 ID:dEtouHOE0
フィアンマは特にアテもなく、とある路地裏を歩いていた。
そもそもが、『世界を見て回りたい』などという漠然とした目的の旅である。
ひとまず列車に乗ってはみたものの、目的地などは存在しない。
「……どうしたものか」
フィアンマは呟く。
あまり目立った動きを見せれば魔術勢力に捕捉される恐れもある。
かといって、このまま当て所なく彷徨うくらいなら観光でもした方がまだマシだ。
自らの無計画さを呪いながら、彼は歩みを進める。
と、そのとき。
「おっと、ごめんよ」
向かいから歩いてきた少年が、すれ違い様に彼にぶつかった。
互いに少しよろけた後、目深に帽子を被った少年は早足で歩いていく。
対するフィアンマはいかにも面倒くさそうに嘆息し、振り返った。
「おい」
「ん、何だい? 骨でも折れたか?」
「大した額ではないが、それが無いと困る。金が欲しいなら他を当たれ」
「……」
左手を差し出したフィアンマと正対し、少年の碧眼が細まる。
瞬間、弾かれたように彼は走り出した。
路地の出口へと駆けて行く少年。
置いていかれたフィアンマはもう一つため息をついて、
「――Opila」
おもむろに、壁にルーンを刻む。
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