過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
1- 20
336:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/06/15(金) 23:30:53.46 ID:CypdjJ6do


 国の助力は期待できない。世界は今混乱していて、こんな辺境まで手を回してはくれない。
 住民達には期待できない。そもそも一般市民に対応できる問題ではない。
 ローマの末端には期待しない。信用できない連中に、下手なことはさせない。

(ここを守れるのは、俺達しかいない)

 ずっとそう信じてきた。
 だから今回だってそうなのだと、そう思っていた。

(……そんなわけは無いんだよな。分かっていたことだけど)

 ローマの末端である少年達の一団は、敵であっても悪ではない。
 そして厳密には敵でも無い。どこか歯車が食い違えば分かり合えたのかもしれない。
 それでも、もう今更別の道へは進まない。
 起きてしまったことは決して無くならず、あって欲しいものは大抵最初から無い。
 人の世は往々にしてそんなものだ。

 Ifはいくらでも浮かぶ。けれどそんな過去は存在しない。
 あるのはきっかけとすれ違いと譲れない理由。
 それらが積み重なり、結果として争いの火種は生まれてしまった。
 本来は相容れない、けれど本質的には分かり合えたはずの彼らは、やはり本来の道へと進んでしまう。

(向こうにだって正当性はある。俺らが思い上がり暴走すれば、止めるものはいない)

 彼らの重ねてきた歴史の中には、そういった前科だって含まれている。
 改心したからもう二度と繰り返さない、もう時代も世代も違う頃の話は関係ない。
 何と言ったところで、やはり可能性は潰えない。

(そして向こうにはこちらを信用する理由が無い――むしろ逆しか無いな。お互い様だが)

 だから、青年は彼らを憎まない。
 長い歴史を知るものとして、決して自分達だけが正しい側に立つわけでは無いと知っている。
 それでも譲るつもりは無いのだが。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
414Res/270.92 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice