過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage saga]
2011/04/16(土) 23:17:26.26 ID:jsJ9EfJ90



 夜に、二人は戻ってきた。
 目に見えて疲れきっていた。体には明らかに自然に出来るはずもない傷もあった。
 それでも、両者とも弱音など吐かなかった。
 そんなものでは、景色は変わらない。

 朝早くから二人は廃屋を出、夜遅くに戻る。
 一日が過ぎ、二日が過ぎ、三日、四日、五日――
 傷は日を重ねるごとに増え、疲労は日に日に濃くなる。
 それを、フィアンマは見ていた。
 泣き言一つ言わない彼らを、ただ見ていた。


 五日目の夜。
 倒れるように眠りについた二人に、布団をかけてやった。
 まるで似合わないことをしている自分に苦笑しながら。
 部屋を見た。
 ロクに照明も無い廃屋に、弱い月明かりが差し込んでいる。

 病に侵された少女が、どこか安らかに眠っている。
 疲労した青年が、無造作に眠っている。
 疲れ果てた少年が、泥のように眠っている。

「――これが」

 濃い夜闇の中で。
 軽く息を吐いて、同じ言葉を続けた。

「あの男が命を懸けて救った世界、か」

 月の薄明かりに照らされる室内で、起きているのは彼一人だ。
 故に、月明かりに照らされた彼の表情を見るものなど誰もいない。
 その穏やかな微笑みは、誰にも見られることはない。



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