過去ログ - フィアンマ「これがあの男が命を懸けて救った世界、か」
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93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage saga]
2011/04/28(木) 03:47:09.08 ID:vlfBvtn50

「まだ日は高いが……仕方ないな」

 愚痴りながらも、フィアンマは口の中でなにやら呪文を紡ぐ。
 するとそれに呼応して、左手に持った金のネックレスが淡く輝きだした。
 彼はそれを真下――水面に浮く塩の中心へと投げる。

「ッ」

「きゃっ!!」

 直後に、二人も水面に衝突した。
 が、衝撃は無い。水しぶきも立たなかったし、衣服も濡れなかった。

「……なんですのこれ。なんか気持ち悪っ」

「どうでもいいだろう。逃げられるのなら」

 二人がいるのは、淡く輝く白い膜の中。膜は先のペンダントと同じ輝きを放っている。
 大きな卵のような色と形をした空間で、広さは観覧車のゴンドラ程度。
 膜になっているのは彼が撒いた塩か。表面積は明らかに水面に浮いていた状態を上回っている。

「うわ、なんかちょっとブヨブヨしてますわ」

「そうそう壊れん筈だが、無闇に触るなよ」

 潜水術式の一種で、曰く『魚のように水中を自由に移動できる』ものだ。
 贅沢を言うならば日が傾き始めてからの方が安定するのだが、必須というわけでもない。
 二人を包んだ白い膜は、滑らかに川を遡って行く。

「むう、殴ったり蹴ったりしたくらいでは壊れませんのね……」

「壊してどうするんだ、逃げられなくなるぞ」




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